和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月29日(日)

議選の監査委員 必要か 近畿6府県議員がフォーラム

 近畿6府県議会の議員が共通課題について話し合う交流フォーラムが18日、和歌山県庁であった。議会の行政監視機能強化などを議論し、議員選出の監査委員の必要性などについても話し合った。

 2004年度から毎年、6府県が持ち回りで開催。今回は和歌山県議6人を含む38人が出席。「地方自治」「観光・文化」「防災」の三つのテーマで分科会があった。

 「地方自治」の分科会では司会の新川達郎・同志社大学大学院教授が行政の業務が適当かなどを監査する監査委員制度について、従来は議会選出(議選)の委員を含むとしていたが、2年前、地方自治法の改正で、議選が廃止できるようになったと説明した。大阪府や大津市などがすでに採用しているという。

 新川教授は、委員が議会から選ばれることには賛否あるとした。肯定論は議員の身分を持った監査委員がいることで、監査の権限強化の効果がある▽判断が分かれる時に、財務会計上の専門家では分かりにくい問題について、豊富な知識を持つ議員が必要―など。否定論は、議会そのものを監査する役割に議員が入っていていいのか▽監査の専門的知識や能力を持っていない議員が委員になったり、比較的短期に交代したりして、監査の仕事ができていない―などがあるという。

 大阪府の西恵司副議長は「議選は反対。予算の肥大化の問題は、議会で審議すればいい」。一方、兵庫県の浜田知昭副議長は「議選は必要。会計上、財務上の監査だけではなく、一般事務監査が大きくなっている。議員でないと分からない部分もある。(財務会計の)専門家とバランスを取った監査であるべきだ」と話した。

 和歌山県の佐藤武治議員(自民、東牟婁郡)は「(議選の代わりに)外部から会計士らを入れる方が、より綿密なチェックができると思う。予算執行の途中で、議会がしっかりチェックをやっておれば、あえて議員(が監査委員を務めるのは)はどうかなと思う」と話した。

 和歌山県の監査委員は4人。うち2人は弁護士と元県職員で、あと2人は議会選出。議選委員は毎年6月に改選されている。

 2016年には県議の政務調査費(現政務活動費)の使途を問う住民監査請求で、議選委員2人と弁護士ら委員の意見が割れ、結果が出ない「合議不調」となった。和歌山県では初めてだったが、続けて17年の同様の監査請求でも合議不調となった。