和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月23日(月)

ふるさと愛で名産守りたい 有志チームでユズ収穫手伝う、和歌山・古座川町

ユズを収穫するチーム転楽のメンバー(和歌山県古座川町楠で)
ユズを収穫するチーム転楽のメンバー(和歌山県古座川町楠で)
 和歌山県古座川町内の有志でつくる「チーム転楽」が、町の名産であるユズの収穫作業を手伝っている。メンバーは「元気でいれるうちは地域のために頑張りたい」と意欲的に活動している。

 メンバーは町や学校、警察などを退職した60~70代の8人。リーダーの室實信さん(76)=古座川町池野山=によると、退職後の仲間づくりやネットワークづくりを目的に結成した。12年ほど前から人手が足りないユズ園で収穫作業を手伝っているが、町道沿いの草刈りなども請け負っており、汗を流しながら親睦を深めている。

 初めは「チーム室(むろ)」などと呼んでいたが、メンバーの一人がユズの収穫中に谷間に「転落」。このことがきっかけで、楽しんで活動するという思いも込めて「チーム転楽」と名付けたという。

 今年は町内の二つの農園から依頼があった。このうち同町楠の後口農園では室さんら3人が、実ったユズを枝切りばさみや高枝切りばさみを使って一つ一つ丁寧に収穫している。作業はほぼ毎日実施し、天気の良い日は朝から夕方まで作業をしているという。

 農園の後口実代表(50)によると、住宅地が多い池野山地区と農園がある楠地区を結ぶ道路が土砂崩れで通行止めになっていることなどが影響し、人手が不足している。さらに、今年はユズが豊作で、例年よりも収穫作業に日数がかかっている。後口代表は「チーム転楽のメンバーは土砂崩れがあった所を歩いて来てくれ、手伝ってくれるので大変助かっている。何年も来てもらっているので、ベテランのように働いてくれている」と話している。

 室さんは「引き継いでいかないと、古座川の特産がなくなってしまう。まだまだふるさと愛が残っているからこそ、こういった活動ができている。生きがいにもなっているので、できる限り続けたい」と語った。