和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月20日(金)

電動避難車で高台へ/くしもとこども園 津波訓練で初使用

電動アシスト付き避難車で高台へ避難する園児(5日、串本町串本で)
電動アシスト付き避難車で高台へ避難する園児(5日、串本町串本で)
 「世界津波の日」の5日、串本町串本、くしもとこども園で津波避難訓練があった。0~1歳児は電動アシスト付き避難車を使って、保育士の援助で園舎裏の高台まで逃げた。


 この避難車は、保護者からの要望を受け、町が本年度2台購入。この日の訓練で初めて使用された。これまでは保育士が4人がかりで手押し車に園児を乗せて高台まで避難していたが、電動アシストになったことで、保育士は2人で済むようになった。

 訓練では、園児約160人が、緊急速報が流れると防災頭巾をかぶり、机の下に隠れた。揺れが収まった合図で懸命に海抜約15メートルの高台へ避難した。高台に避難し終えた園児たちは、自分の命は自分で守る▽早く高い所へ逃げる▽安全になるまで戻らない―の三つの合言葉を唱和した。

 今後30年以内に70~80%の確率で発生するとされる東海・東南海・南海の3連動地震では、串本町への津波は第1波が5分で到達し、最大で10メートルに達すると予想されている。千~1万年に1度発生するとされている南海トラフの巨大地震では第1波が3分で到達し、最大で17メートルと予想されている。

 園舎のある土地は海抜約4・5メートル。園では毎月数回、普段駐車場として利用している高台まで避難する訓練を続けている。その成果で速い園児は1~2分、全園児が約4分で高い台へ避難できるようになっている。町は、JR串本駅裏の造成地(海抜約53メートル)への園舎移転を計画しており、2023年1月の開園を目指している。

 矢野久美園長は「電動アシスト付き避難車のおかげで、坂の上りも下りも楽になり、余った保育士が他の園児の応援に行けるようになった。大変ありがたい」と話した。