和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月22日(日)

「団報」手書きで30年 田辺第九合唱団の西本さん

「『楽しみに読ませてもらっている』と言ってくれる団員もいてうれしい」とはにかむ西本元子さん(和歌山県田辺市新万で)
「『楽しみに読ませてもらっている』と言ってくれる団員もいてうれしい」とはにかむ西本元子さん(和歌山県田辺市新万で)
 田辺第九演奏会に出演する合唱団では、毎年団員向けの団報「のいんて」を発行している。作っているのは、演奏会を主催する「田辺第九の会」で実行委員を務める西本元子さん(84)=和歌山県田辺市新万。記事は全て手書きで「読むのを楽しみにしている人や、温かみがあると言ってくれる人もいる」と笑顔を見せる。

 西本さんは元高校教諭で、1987年の第2回演奏会から田辺第九合唱団に参加。当時、「団員の互いの動向を知る団報が必要」という声があり、西本さんが団報の作製を引き受けた。

 「のいんて」という名前は、「九番目」という意味のドイツ語がもとになっている。西本さんが毎回内容を考えて、B4サイズの原稿用紙に記事を手書きしている。

 「のいんて」の第1号は、第2回演奏会の練習が始まった時期に合わせて、87年7月29日に発行した。出演するソリストの紹介や、当時の団長や田辺第九の会会長のあいさつなどを掲載。ドイツ語の歌詞を解説した特集号を含めて、この年は計7回団報を作った。

 その後も毎年発行を続けた。家庭の事情で3年ほど発行できなかった時期があるが、例年5~7回、近年は4回ほど団報を作ったという。

 「一番の悩みは、何をテーマに取り上げるかを考えること」と西本さん。合唱団員は年代も職業もさまざまで、取り上げる話題や書き方について、数日間悩むこともあった。「締め切りが近くなって、ようやく書き始めることができることも多かった」と振り返る。

 今年は、9月にあった合唱団の結団式以降、すでに2回団報を発行している。「私にとっては、30年余り続いた大事業。友達にも恵まれ、周囲に支えてもらって今まで続けてこられた。今年は練習と本番に合わせて、あと2、3回は出したい。最後まで、田辺第九演奏会を支えていけたら」と話す。

 合唱団が出演する演奏会(田辺第九の会、田辺市教育委員会主催)は、1979年に第1回公演をした。今年12月にある第34回の演奏会を最後に終了する。