和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月22日(日)

県文化財の社叢の木倒れる 和歌山県田辺市鮎川の住吉神社、ほこら上部を破壊

ほこらや玉垣を倒したシイの木(9日、和歌山県田辺市鮎川の住吉神社で)
ほこらや玉垣を倒したシイの木(9日、和歌山県田辺市鮎川の住吉神社で)
根元から倒れたシイの木。写真右側にある拝殿や本殿には影響はなかったとみられる
根元から倒れたシイの木。写真右側にある拝殿や本殿には影響はなかったとみられる
住吉神社地図
住吉神社地図
 和歌山県田辺市鮎川の住吉神社で9日、県の天然記念物に指定されている社叢(しゃそう)のシイの木が根元から倒れているのが見つかった。老木のため伐採に向けて動いていたところだった。木の幹は境内にある鮎川王子のほこらの上部を破壊した。

 午前8時ごろに近くを通りかかった神社役員が気付いた。

 神社の社叢は3775平方メートルある。倒れたシイの木は根元付近の幹回りが約1・3メートル、高さ約8メートルとみられる。木は古く、数年前から「危ない」という話が出ていた。昨年夏ごろに樹木医に確認してもらったところ「倒れる可能性がある」と診断されたため、伐採する方針を決めていた。申請に向け、市を通じて県と調整中の段階だった。

 神職の音無長裕さん(61)は「熊野古道を歩く人がよく立ち寄られる場所でもあるため、なるべく早く撤去したい」と話した。連絡を受けて神社に来た総代長の愛瀬悦次さん(78)は「一昨日に通りかかった時には変わったことはなかった。周辺に聞いても大きな音を聞いた人はいなかった。8日夜以降に倒れたのではないか。人がいない時間帯でよかった」と語った。

 現時点では本殿や拝殿には被害はないとみられる。