和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年11月22日(金)

「耕作放棄地への対策」

 紀南の各地で、耕作放棄地が増えている。農家の高齢化、後継者の不在、イノシシなど野生動物の出没…さまざまな理由で、荒れ放題になったミカン畑や梅畑が各地にある▼そんな状況を見かねて農家自身が立ち上がり、自衛していこうとする動きが出始めた▼みなべ町では若手農業者でつくる「みなべ梅郷クラブ」がプロジェクトチームをつくり、放棄された梅畑の木を伐採し、備長炭の材料になるウバメガシを植える計画を立てた。12月から実験的に2カ所の畑で作業を始めるそうだ▼同様の動きは田辺市上秋津でも進んでいる。こちらは秋津野ガルテンの経営母体を中心に、放棄された梅畑を世話する組織をつくり、下草を刈ったり、農道を維持したりする作業を委託する計画という▼放棄地が増えると、そこが害虫の発生源となり、野獣の隠れ場にもなって、周辺の園地に悪影響を及ぼす。けれども、畑の所有者は高齢化し、管理もままならない。こうした状況は、紀南の全域に広がっている▼そこで提案がある。いま立ち上がろうとしている農家の動きを行政や農協が応援する仕組みをつくればどうかということだ。補助金を出すだけでもよい。それが呼び水になって農家のやる気を刺激すれば、この地の主産業は守れるはずだ▼熱意を持って梅やミカンの栽培に取り組む人は少なくない。その人たちをバックアップするのも行政の役割と考えるが、いかがだろう。(石)