和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月22日(日)

高校生に「騙されない教科書」 詐欺や悪徳商法を漫画で分かりやすく、和歌山県教委

和歌山県教育委員会が県内全高校生に配布した「騙されない為の教科書」
和歌山県教育委員会が県内全高校生に配布した「騙されない為の教科書」
 和歌山県教育委員会は、詐欺や悪質商法による被害例や対応策を漫画などで示す「騙(だま)されない為(ため)の教科書」を、私立を含む県内61高校の全生徒2万4633人に配付。成人年齢の引き下げにより、高校生の消費者トラブルが心配される中、防止につなげたいとしている。


 全国の高校や少年院、児童養護施設などでキャリア教育を提供する一般社団法人「ハッシャダイソーシャル」(東京都)が作製し、県教委に寄贈した。

 民法改正により昨年4月、成人年齢が20歳から18歳に引き下げられた。これに伴い18、19歳も、携帯電話やローン、クレジットカードなどさまざまな契約が自身だけでできるようになり、親の同意がなければ契約を無条件で取り消せる「未成年者取消権」の対象外となった。

 これにより、高校生を含む若年層の詐欺や悪質商法の被害増加が懸念されている。国民生活センターの調べによると、昨年度の18、19歳の消費者トラブル件数は前年度より259件増え5108件。中でも「脱毛エステ」関連の716件、「出会い系サイト」関連の249件などが多かった。

 冊子はカラー刷りA4判で36ページ構成。特に注意が必要という「フィッシング詐欺」「無料商法」「タレント・モデル契約詐欺」「マルチ商法」「現金配り詐欺」「アルバイト詐欺」、また詐欺や悪質商法ではないがトラブルが多い「リボ払い」についても取り上げ、漫画仕立てで被害例を紹介している。

 例えば「無料商法」の漫画は「初回無料」の広告を見て申し込んだ女子高生が、初回の施術を受けた後、高額のプランを強く勧誘され契約。その後「自分に合わない」と解約と返金を申し出るも「中途解約可能だが、支払い義務は残る契約だ」と説明され、誰にも相談できないまま支払いだけが続くという内容。

 続いて、こういった事態に陥る前に、契約書などを読み込まず流れで契約や申し込みをしないよう注意を記載。契約後でも8日以内であればクーリングオフ(無条件での契約解除)の対象になることや「消費者ホットライン」(188)も紹介している。

 県教委担当者は「誰もが詐欺、悪徳業者の標的とされていることを生徒に知ってもらい、自分だけでなく友人の被害も防ぐ一助になることを希望する」としている。