和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年11月25日(月)

土砂災害防止へ放置林間伐 みなべ川森林組合

ほとんど間伐されず、成長が止まって枯れる木も出ている山林(和歌山県みなべ町内で)
ほとんど間伐されず、成長が止まって枯れる木も出ている山林(和歌山県みなべ町内で)
 長年、手入れされずに放置された状態にある森林が多く、豪雨による土砂災害の危険性が高まっているとして、和歌山県みなべ町のみなべ川森林組合は、そうした森林の所有者の特定と間伐事業に乗り出した。今月末までに連絡をしてもらうよう所有者に呼び掛けており、組合は11月から間伐事業を実施するという。

 同組合によると、町内では森林所有者が分からず、手入れがされないまま30年以上放置された森林が千ヘクタールに上る。かつて、地元財産区が地上権を売った山があるが、その後、転売されるなどして所有者が分からず、間伐もされないままになっている山が多くあるという。

 放置林では根の張りが悪く、土砂流出を食い止める力がなくなり、地滑りが発生するなど土砂災害を誘発する原因になるという。

 各地で豪雨災害が問題となる中、今回、森林組合が各財産区と相談し、これまで手付かずだったこうした山を整理しようと、財産区や町の所有林を対象に調査や間伐事業をすることにした。県の補助金を活用して取り組む。

 新聞広告で間伐計画場所を挙げて、所有者が分からず事前に組合から連絡を受けていない人がいれば、早急に電話連絡してほしいと呼び掛けている。申し出があった人とは権利延長などを相談して対応し、申し出がない場合も間伐する。11月から着手したいという。3年間で200ヘクタールを目標にしたいという。

 組合の松本貢参事は「全国で災害が起きており、紀伊半島大水害も経験している。今後、犠牲者が出るようなことのないよう、間伐事業を続けないといけない」と話している。

 間伐計画場所として挙げている放置林は次の通り。

 みなべ町熊瀬川字湯浅谷内の熊瀬川区地上権山▽同町熊瀬川字倉尻・古田内のみなべ町地上権山▽同町高野字大楠谷・小ケ畑・山硲・上芝田内の高野区地上権山▽同町滝字下谷山内の滝区地上権山

 それ以外でも町内の放置林で情報があれば申し出てほしいという。連絡は、みなべ町清川1267、みなべ川森林組合(0739・76・2014)へ。