キーライフの新車試乗記/マイルドHVを採用/スバル クロストレック
スバルは、都市型のSUV(スポーツ用多目的車)「XV」をフルモデルチェンジし、「クロストレック」として発売した。精悍(せいかん)なフロントマスクや、燃費を改善したマイルドハイブリッドの2リットルエンジンを採用。シリーズで初めてFF車(前輪駆動)も設定した。
■XVから名称を変更
これまで国内外の市場によってXVとクロストレックの車名を使い分けてきたが、今回のフルモデルチェンジで統一した。
XVには、水平対向の2リットル自然吸気エンジン(154馬力)と1・6リットル自然吸気エンジン(115馬力)が設定されていたが、新モデルは、最高出力145馬力の2リットルエンジンを13・6馬力のモーターで補助するe―BOXERに一本化した。
国内でスバルだけが生産する水平対向エンジンは、向かい合ったピストンが水平方向に往復して振動を打ち消し、スムーズな回転が得られる。
燃費は、XVがJC08モードで16・4キロだったのに対して、クロストレックはAWD(全輪駆動)で18・8キロ、FFで19・3キロに改善している。
車体の大きさは全長4480ミリ、全幅1800ミリ、全高1575ミリ。年々大型化するSUVの中では手頃なサイズとなっている。このクラスではホンダのヴェゼルやマツダのCX―30などがライバルになる。
最低地上高は本格的なSUV並みの200ミリを確保しており、バンパーの下にはアンダーガードを備えるなど、過酷な不整地も走れるような仕様になっている。
装備によって「ツーリング」と「リミテッド」の二つのグレードがあり、それぞれAWDとFFが設定されている。FFの設定は初めてで、価格はAWDに比べて20万円安い。
■ソフトな乗り心地
試乗車はFFのリミテッド。乗車してまず目に飛び込んでくるのは、インパネの中央に設置された11・6インチのインフォメーションディスプレー。内装はシンプルで、手堅くデザインされている。
モーターの出力が小さいマイルドハイブリッドなので、走行の主役はあくまでもエンジン。発進加速ではスムーズにエンジンの回転が上昇し、モーターによる電動感はあまり感じられない。
しかし、走行中にふとタコメーター(回転計)を見ると、市街地や高速走行でもエンジンが停止している時間があった。定速走行や下り坂など、エンジンへの負荷が小さい時にはできるだけ止める設定のようだ。
足回りはソフトで乗り心地がいい。道路の補修跡やマンホールを通過した際には、ゴムの板を一枚挟んだような感触で乗り越えていく。最近は足回りが堅めの車が多いので、「乗り心地のいい5ドアハッチバック」という点でも価値がある。
初のFFモデルは、操縦性が素直。サスペンションのストローが大きいので急なカーブではロール(横傾き)も少し大きめになるが、ステアリングをさらに切り足すことですっと向きを変えてくれる。
荷室は奥行きと横幅はたっぷりあるが、底は浅め。容量が315リットルというのは、このクラスの車としては小さめだ。
■さらに安全な車に
予防安全システム「アイサイト」には今回、ステレオカメラに加えて広角単眼カメラが設定され、危険を回避するための「視野」が一段と広がった。交差点の右左折時に横断歩道を渡る歩行者を検知して衝突回避をサポートしたり、見通しの悪い交差点で前側方から接近する車を感知してブレーキを制御したりする。
高速道路の車線維持機能は、メーカーによって個性がある。常にステアリングが小刻みに動いて落ち着かないという車もあるが、アイサイトはアシストが自然で違和感がない。
販売店によると、スバルに初めて乗る人はクロストレックの購入に当たってFFを選ぶケースが多いそうだ。FFでも操縦安定性は十分だが、雨や強風など悪天候での安心感はAWDが勝る。機会があれば、荒天の日にぜひ試乗してみてほしい。
【試乗車提供】大阪スバル田辺店(田辺市中万呂867の2、0739・23・1740)
リポーター 長瀬稚春=紀伊民報制作部長。運転免許歴48年
データ 全長×全幅×全高=4480×1800×1575ミリ▽ホイールベース=2670ミリ▽車重=1560キロ▽駆動方式=FF(前輪駆動)▽エンジン=1995cc水平対向4気筒DOHC、107kW(145馬力)/6000回転、188Nm(19.2キロ)/4000回転▽モーター=10kW(13.6馬力)、最大トルク65Nm(6.6キロ)▽トランスミッション=CVT(自動無段変速機)▽燃料消費率=16.4キロ(WLTCモード)▽車両本体価格=306万9千円
■XVから名称を変更
これまで国内外の市場によってXVとクロストレックの車名を使い分けてきたが、今回のフルモデルチェンジで統一した。
XVには、水平対向の2リットル自然吸気エンジン(154馬力)と1・6リットル自然吸気エンジン(115馬力)が設定されていたが、新モデルは、最高出力145馬力の2リットルエンジンを13・6馬力のモーターで補助するe―BOXERに一本化した。
国内でスバルだけが生産する水平対向エンジンは、向かい合ったピストンが水平方向に往復して振動を打ち消し、スムーズな回転が得られる。
燃費は、XVがJC08モードで16・4キロだったのに対して、クロストレックはAWD(全輪駆動)で18・8キロ、FFで19・3キロに改善している。
車体の大きさは全長4480ミリ、全幅1800ミリ、全高1575ミリ。年々大型化するSUVの中では手頃なサイズとなっている。このクラスではホンダのヴェゼルやマツダのCX―30などがライバルになる。
最低地上高は本格的なSUV並みの200ミリを確保しており、バンパーの下にはアンダーガードを備えるなど、過酷な不整地も走れるような仕様になっている。
装備によって「ツーリング」と「リミテッド」の二つのグレードがあり、それぞれAWDとFFが設定されている。FFの設定は初めてで、価格はAWDに比べて20万円安い。
■ソフトな乗り心地
試乗車はFFのリミテッド。乗車してまず目に飛び込んでくるのは、インパネの中央に設置された11・6インチのインフォメーションディスプレー。内装はシンプルで、手堅くデザインされている。
モーターの出力が小さいマイルドハイブリッドなので、走行の主役はあくまでもエンジン。発進加速ではスムーズにエンジンの回転が上昇し、モーターによる電動感はあまり感じられない。
しかし、走行中にふとタコメーター(回転計)を見ると、市街地や高速走行でもエンジンが停止している時間があった。定速走行や下り坂など、エンジンへの負荷が小さい時にはできるだけ止める設定のようだ。
足回りはソフトで乗り心地がいい。道路の補修跡やマンホールを通過した際には、ゴムの板を一枚挟んだような感触で乗り越えていく。最近は足回りが堅めの車が多いので、「乗り心地のいい5ドアハッチバック」という点でも価値がある。
初のFFモデルは、操縦性が素直。サスペンションのストローが大きいので急なカーブではロール(横傾き)も少し大きめになるが、ステアリングをさらに切り足すことですっと向きを変えてくれる。
荷室は奥行きと横幅はたっぷりあるが、底は浅め。容量が315リットルというのは、このクラスの車としては小さめだ。
■さらに安全な車に
予防安全システム「アイサイト」には今回、ステレオカメラに加えて広角単眼カメラが設定され、危険を回避するための「視野」が一段と広がった。交差点の右左折時に横断歩道を渡る歩行者を検知して衝突回避をサポートしたり、見通しの悪い交差点で前側方から接近する車を感知してブレーキを制御したりする。
高速道路の車線維持機能は、メーカーによって個性がある。常にステアリングが小刻みに動いて落ち着かないという車もあるが、アイサイトはアシストが自然で違和感がない。
販売店によると、スバルに初めて乗る人はクロストレックの購入に当たってFFを選ぶケースが多いそうだ。FFでも操縦安定性は十分だが、雨や強風など悪天候での安心感はAWDが勝る。機会があれば、荒天の日にぜひ試乗してみてほしい。
【試乗車提供】大阪スバル田辺店(田辺市中万呂867の2、0739・23・1740)
リポーター 長瀬稚春=紀伊民報制作部長。運転免許歴48年
データ 全長×全幅×全高=4480×1800×1575ミリ▽ホイールベース=2670ミリ▽車重=1560キロ▽駆動方式=FF(前輪駆動)▽エンジン=1995cc水平対向4気筒DOHC、107kW(145馬力)/6000回転、188Nm(19.2キロ)/4000回転▽モーター=10kW(13.6馬力)、最大トルク65Nm(6.6キロ)▽トランスミッション=CVT(自動無段変速機)▽燃料消費率=16.4キロ(WLTCモード)▽車両本体価格=306万9千円