和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月21日(土)

菜の花あるとハチ増加 受粉促進、梅の収量安定期待

梅の園地で花を咲かせる菜の花(和歌山県みなべ町で)
梅の園地で花を咲かせる菜の花(和歌山県みなべ町で)
 梅の受粉を助けるミツバチの訪花数は、気温が低いと少なくなるが、梅の周囲に菜の花があると低温でも多く飛来することが、農研機構(茨城県)と和歌山県うめ研究所(みなべ町)の共同研究で分かった。菜の花の活用で、梅の収量安定に貢献できる可能性があるという。


 みなべ町内であったウメ研究成果発表会(紀州うめ研究協議会主催)で、農研機構農業環境研究部門の前田太郎上級研究員(50)が報告した。

 研究では、和歌山県の過去の収量データを調べると、受粉対策としてセイヨウミツバチを1982年に導入して以降、収量が上がっていた。収量への影響の要因として、開花前に高温になれば収量が減少することや、開花期間中が低温だとミツバチの訪花、受粉が減少し、着果不良につながるということなどが分かった。

 そのため、低温時にミツバチの訪花を増やす方法として、開花期が梅と重なる菜の花に注目。研究所の梅園地で、周囲に菜の花が植わっている梅の木とそうでない梅の木でミツバチの訪花数を比べると、菜の花がある梅の木の方が多く来ることが明らかになった。

 さらに、みなべ町や田辺市の園地での調査でも、通常はミツバチの訪花が減少する最高気温が12度以下の時期でも、菜の花があるとミツバチは多く、菜の花の数が多いほど梅にミツバチを呼ぶ効果が高いことも分かった。

 こうした研究成果を踏まえ、前田研究員は「梅の収量の年次変動を小さくすることに、菜の花を使う技術が少しでも貢献できる可能性があると考える。実現にはハードルや問題も生じると思うが、これから考えていければ」と語った。

 一方、ミツバチの訪花が梅の花よりも菜の花に取られるのではないかという心配については、気温が高い時には菜の花があると梅の花に行くミツバチが少し減る傾向があるが、梅で必要なミツバチの数は足りており、生産への問題はない。低温時にミツバチの数を押し上げる効果の方が重要になると思っているとした。