和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月23日(月)

「絆の歴史」若者に トルコ総領事、串本古座高に図書寄贈

串本古座高校の生徒にトルコと日本の友好の歴史を紹介する図書を贈呈するオズテュルク総領事(串本町串本で)
串本古座高校の生徒にトルコと日本の友好の歴史を紹介する図書を贈呈するオズテュルク総領事(串本町串本で)
 トルコ総領事館(名古屋市)のウムット・リュトフィ・オズテュルク総領事(45)が27日、トルコ軍艦エルトゥールル号遭難(1890年)をきっかけに同国と強い絆で結ばれている串本町を訪れ、串本古座高校(榎本貴英校長)の生徒らと交流した。オズテュルク総領事は将来を担う若者たちに知ってほしいと、日本とトルコの友好の歴史を分かりやすく紹介した図書100冊を同校に寄贈した。


 県国際課によると、総領事館は近畿地方も管轄しており、総領事は今回、新たに就任した岸本周平知事への表敬訪問などを目的に26、27の両日に来県。列車遅延の影響で岸本知事には会えなかったが、和歌山大学やトルコ関連商品を取り扱う企業を訪ねた他、27日には串本古座高や同町樫野にあるトルコ記念館を訪れるなどした。

 串本古座高ではトルコの高校とオンラインで交流もしており、この日は榎本校長や生徒の有志7人と歓談。総領事は「友好関係はトルコにとっても日本にとっても大事な宝物」などと話し、生徒たちも「串本出身者として将来トルコを絶対に訪れたいと思っているが、何か気を付けなければならないことはありますか」「外資系の仕事に就きたいと考えているが、総領事のような方になるには、この先どのような勉強をすればいいですか」などと熱心に質問した。

 総領事は「トルコの人は両国の友好関係を知っているので、温かく歓迎されることも多い。後で私の携帯電話を教えてあげるので、何か困ったらすぐに電話して」「良い質問。ベテランの外交官でもこういう質問はできないぐらい。目的を立てて努力を」などとユーモアを交えながら答えていた。

 総領事は、日本トルコ文化協会が2011年に初版を発行した「絆~トルコと日本の120年」(A5判、83ページ)という図書100冊を同校に寄贈。漫画でエ号の遭難などを紹介したり、日本とトルコ関係の年表を掲載したりした内容で、21年には130周年記念増版が出ている。

 本を受け取った2年生の雑賀和さん(17)は「漫画で読みやすいので、小さな子どもたちにも読ませてあげて、トルコと日本の絆が強まればと思う」と笑顔。同校では図書館で閲覧できるようにする他、町内の小中学校に配ることも検討しているという。

 総領事は「生徒たちは私たちの未来。この本は子どもたちに向けて発行されたもので、お贈りしたいと思った。トルコの国民は1890年に伸ばされた助けの手を、これからも絶対忘れることはない。子どもたちの交流もこれから増えていくことを望んでいる。今日も生徒たちの輝かしい目を見て、友好を確かめることができた」と話していた。