和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年11月16日(土)

梅の在庫抱え悲痛な声 消費低迷や豊作が影響、みなべ・田辺の梅農家

農家の倉庫に積み上がっている白干し梅のたる(みなべ町内で)
農家の倉庫に積み上がっている白干し梅のたる(みなべ町内で)
 梅の消費低迷や豊作などの影響から、みなべ、田辺地方の農家の中で、塩漬け、天日干しした梅を加工業者や仲買人に買い取ってもらえず、在庫を抱える人も出ている。「現金不足に陥っている」という悲痛な声や「今後どうなるのか」と不安の声が上がっている。


 漬け梅の生産農家は、塩漬け、天日干しした「白干し梅」を、加工業者や仲買人などに買い取ってもらい、業者が調味など加工し、梅干し製品となる。

 農家によって、在庫の状況はさまざまだが、買い取りの動きは鈍化しているという。白干し梅を詰めたたるを倉庫に積み上げている農家もいる。

 みなべ町の30代のある農家は「在庫がたまり、現金不足になっている。さらに今年豊作になれば、どうなるのか」と不安を訴える。町内の別の40代の農家も「例年なら在庫はそんなにないが今年はまだまだ。今も干しているので、たるが倉庫にたまるばかりでつらい」と語る。

 田辺市内のある60代の農家も、例年に比べて買い取ってもらえる量が少なく「資金繰りに困っていて四苦八苦している」と嘆く。

 「7割くらいは引き取ってもらえた」「今のところそれほど在庫はない」という農家もいるが、そうした農家も「これまでもこういうことはあったと思うが今回はきつい。先が見えないので不安」という。

「何とか消費拡大を」


 みなべ、田辺地方の加工販売業者の中でも規模や販路などで状況は異なる。通常通り原料を仕入れている業者がある一方で、需給バランスが崩れているとして引き取りの量を調整せざるを得ないという業者もある。

 業者には「凶作の後、一昨年が豊作だったことが大きな要因」「売れ行きが低迷しているところに量がある」「いまの局面だけでなく、長い目で考えないといけない」といった見方がある。「テレビで機能性が取り上げられるなどしてよく売れた年があったが、徐々に低迷している。コロナ禍での健康イメージや巣ごもり需要も期待したが、伸びておらず、厳しい」「消費拡大に向けて何とか取り組みたい」などの声もある。

 昨年12月のみなべ町議会でも一般質問で取り上げられ、町は梅の機能性のPRやホームページの情報発信の改善などに取り組み始めている。