和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月22日(日)

鳥インフルで63羽処分 白浜のアドベンチャーワールド

臨時休園の看板を立てているアドベンチャーワールド(11日、和歌山県白浜町で)
臨時休園の看板を立てているアドベンチャーワールド(11日、和歌山県白浜町で)
 和歌山県は11日、白浜町のレジャー施設「アドベンチャーワールド」で飼育しているアヒルが、高病原性鳥インフルエンザに感染したと発表した。県などは同日午前、施設の家禽(かきん)類63羽の処分を開始した。施設は11日から臨時休園しており、再開時期は防疫措置の完了後、県と国、施設が協議する。


 県によると、県家畜保健衛生所に10日、同施設からアヒル6羽が死んでいると連絡があった。衛生所の簡易検査で陽性となったため、さらにPCR検査をしたところ、11日に感染が判明した。

 県は同日午前、対策本部会議を開いて対応を協議し、家畜伝染病予防法に基づいて殺処分を決めた。

 これを受け、県や施設の職員が午前9時20分、法律で対象に定められている家禽類、アヒル35羽(死んだ6羽含む)、ガチョウ13羽、ダチョウ1羽、エミュー14羽の殺処分を開始した。フラミンゴやオウム、インコなどは対象外となる。

 焼却処分は、施設内や県家畜保健衛生所(和歌山市)の焼却炉を使う。消毒も含め、12日に完了する見込みという。

 国内で10月下旬から鳥インフルエンザの発生が相次いだことから、施設は4日以降、家禽類を屋内に隔離して飼養していたという。ウイルスの侵入経路は分かっていない。

 また、県は施設から3~10キロ以内にある養鶏場1戸に対し、採卵鶏4500羽とその卵の区域外への搬出を禁止した。

 白浜町十九渕の「しらとりスポーツ広場北グラウンド側駐車場」と上富田町生馬の「生馬河川敷グラウンド」には、畜産関係者車両の消毒ポイントを設定した。対象車両は搬出制限区域に出入りする際、必ず消毒を受ける必要がある。

 11日、しらとりスポーツ広場駐車場で自家用車の消毒をした養鶏場従業員の60代男性は「鶏卵の配達や養鶏場での採卵の仕事をしている。今朝、事務所で話を聞いてびっくりした。毎日の消毒はかなりの手間だが、これ以上広がらないように願うばかり」と話した。

 県内の鳥インフルエンザ感染事例は3件目。2011年2月に紀の川市の養鶏場で約12万羽、20年12月にも同市の養鶏場で約6万7千羽を殺処分した。

■観光への影響心配

 観光が主産業の白浜町にとってアドベンチャーワールドは中心的な施設。同施設を目当てに訪れる観光客も少なくない。コロナ禍で減少していた人出がようやく戻ってきたところで、町の観光関係者からは、今後の影響に心配の声が上がっている。

 井澗誠町長は「心配と不安でいっぱいだが、今後の成り行きを見守りたいと思う」と言い、南紀白浜観光協会の藤田正夫会長は「非常に残念。厳格に対処すべきなので、やむを得ないが、休園が長引くとホテルのキャンセルが出るなど、町にとっても観光関連施設にとっても打撃になる」と話した。