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2024年12月23日(月)

園児激減、10年で3分の1 田辺市立の4幼稚園

和歌山県田辺市立幼稚園の園児数
和歌山県田辺市立幼稚園の園児数
 和歌山県田辺市の公立幼稚園の園児数が激減している。全4園合わせて43人で、この10年で3分の1になった。中でも新庄幼稚園は5歳児の5人のみで、来年度の入園者がなければ園児がいなくなる状況。市教育委員会は「4園とも地域と連携した取り組みや、少人数で目の行き届いた教育をしている。その良さを知ってもらい、入園する子どもが増えるよう努めたい」と話している。


 市立幼稚園は新庄、三栖、上秋津、中芳養の4園がある。4園とも4歳児と5歳児の2年保育。保育時間は午後2時半までだが、希望者には午後6時半まで預かり保育をしている。

 市立幼稚園の園児数は年々減少している。2013年(5月1日時点)には131人いたが、昨年(同)は50人、今年は10月1日時点で43人。特に新庄幼稚園では5歳児の5人のみで、4歳児は一人もいない。

 園児数の減少は、市全体で子どもの数が減っていること、共働き家庭が増えて低年齢から預けられる保育所や認定こども園、私立幼稚園などを利用する家庭が増えていることなどが要因。19年10月からは幼児教育・保育の無償化で、保護者にとって選択肢が広がったことも園児の減少につながっているとみられる。

 市教委によると、保護者のニーズに応じることや園児数を確保するため、18年度から、預かり保育をそれまでの午後4時半までから午後6時半までに延長し、夏休みなどの長期休暇にも実施。本年度に入園した子どもからは通園区を撤廃した。入園対象は原則として市内に住んでいる子どもだが、市外に住んでいても相談があれば個別に対応するという。

 教育面では、外国語指導助手が来園し、英語に親しむ機会をつくったり、小中学校や地域との交流、連携を重視した取り組みをしたりしている。

 園側も、園の雰囲気や取り組みを知ってもらおうと、園庭開放や入園体験の日を設けている。新庄幼稚園は、新型コロナの感染状況にもよるが、本年度から基本的に水曜に園庭を開放。また月に1回ほど、運動会など園の行事の際に未就園児と保護者が参加できる「親子広場」を開いている。新庄公民館の管区全ての家庭に2カ月に1回、園の取り組みや未就園児事業を紹介する広報紙を作って配布もしている。

 中本克彦園長は「園児一人一人と深く関わり、個性を生かした教育をしている。愛郷会の助成を受け、体操や英会話、絵画など専門講師による体験教室も開いている。ぜひ未就園児事業に遊びに来てほしい」と呼びかけている。

 市教委は、市立幼稚園の入園希望児を随時受け付けている。問い合わせは市教委学校教育課(0739・26・9942)へ。