和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月25日(水)

行政サービスのセンター/東京の企業が進出

田辺市への企業進出について協定書に署名する関係者(知事室で)
田辺市への企業進出について協定書に署名する関係者(知事室で)
 自治体などの業務を請け負う「エスプールグローカル」(東京都千代田区)が来年3月、田辺市稲成町の商業施設「オークワパビリオンシティ田辺店」に「田辺BPOセンター」を開設する。同社は、交渉がまとまれば、同市や周辺町の一部行政サービスの相談や手続きが気軽にできるようにし、住民の利便性を向上したいとしている。

 同社は東証プライム上場の「エスプール」(同)の子会社で、昨年12月に設立。全国8カ所にBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)のセンターを設け、計約150の市町村から委託された住民向けサービスを提供している。

 内容は、新型コロナウイルスワクチンの予約受け付けやマイナンバーカードの申請支援、粗大ごみ予約受け付け、各証明書の予約受け付け、保育園入園申し込み事務、臨時給付金の問い合わせ窓口など多岐にわたる。各市町村の定型的な業務を集約することで、コストを下げてサービスを提供できる利点があるという。

 センターは地域の住民が多く集まる商業施設などに開設し、役場の開庁時間外でも、買い物ついでに、行政への相談や手続きができるようにしている。モニターをさまざまな場所に設置し、住民がテレビ電話で地元のセンター社員に相談できる。他地域のセンターとも連携しているため、地元のセンター混雑時や災害時にも行政関係の相談などが可能という。

 「田辺BPOセンター」は仁坂吉伸知事のトップセールスが後押しして開設が決まったという。全国14カ所目となる予定。地元から正社員30人と非正規社員5人を雇用する。当面は県外の市町村のサービスを業務とするが、周辺市町から業務委託を受けられるよう、交渉しているという。

 進出協定の調印式が9月30日、県庁であり、仁坂吉伸知事、田辺市の真砂充敏市長、「エスプール」会長兼社長で「エスプールグローカル」代表取締役の浦上壮平さんが協定書に署名。佐久間雄介・社長執行役員も同席した。

 仁坂知事は「時代を先取りするような立派な企業に来ていただいて、心から喜んでいる。紀南の中心地である田辺市を拠点に、新しい要素を県内に入れてほしい」と歓迎。浦上代表取締役は「地方では人口減で税収が減る中、住民の年齢層が上がると行政に頼る人は増える。和歌山県や田辺市にとって、いち早く価値ある地元企業になれるようにしたい」と話した。