和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月24日(火)

暮らしの安全は 参院選2022(中)/介護の現場/仕事の魅力広めるには

入居者と言葉を交わす小山智恵美さん(中央)=上富田町生馬の「愛の園」で
入居者と言葉を交わす小山智恵美さん(中央)=上富田町生馬の「愛の園」で
暮らしの安全は タイトルカット
暮らしの安全は タイトルカット
 上富田町生馬の特別養護老人ホーム「愛の園」で働く介護福祉士の小山智恵美さん(51)は「勤務中は時間があっという間に過ぎる」という。食事やトイレ、入浴の介助、おむつ交換、就寝後の体位交換…。入居者の行動全てに寄り添うからだ。

 大変な仕事だとは思うが、入居者がにこっと笑ってくれたり、表情が豊かになったりすることに喜びを感じる。同世代の同僚たちの存在も大きい。「しんどい時もあったけれど、お互いにいろいろと話せる仲間がいたから、続けられている」と思っている。

 そんな同僚たちとの間で時々、話題になるのは「自分たちが退職したら、どうなるのか」ということ。年齢の上から退職し、新しい人が入ってこなければ、いずれは組織が成り立たなくなる。

 給与額なのか、きつそうだというイメージがあるのか。「大変じゃない仕事なんてない。一度、この世界に飛び込んできてくれるといいんですけどねえ」。小山さんは複雑な表情を見せる。

 崎山賢士施設長(55)によると、110部屋あるが、スタッフ不足のため、20部屋が稼働できていないという。「さまざまな方法で人材を集めようとしているが、思うように集まらない。地域のニーズに応えきれていない現状がある。奥深い、根深い問題ではないか」と苦悩を語る。

 崎山さんの指摘通り、介護の現場は慢性的な人材不足という課題に直面している。

 2025年以降は、いわゆる「団塊の世代」の全員が後期高齢者(75歳以上)になり、介護サービスを必要とする人が増えると予想される。担い手確保のための対策は、より重要になる。

 厚生労働省は、19年度で約211万人だった介護職員を、40年度には約280万人にまで増やす必要がある、と考えている。対策として、他産業と遜色ない賃金水準や処遇改善による離職防止、ロボットや情報通信技術の活用などを掲げる。介護職の魅力をいかに向上させるかも鍵を握る。