和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年11月16日(土)

新たな害虫モモヒメヨコバイに警戒 県うめ研究所が対策研究

モモヒメヨコバイの発生数を調べるため、梅畑に設置している粘着シート(田辺市下三栖で)
モモヒメヨコバイの発生数を調べるため、梅畑に設置している粘着シート(田辺市下三栖で)
梅の葉に付いたモモヒメヨコバイの成虫(県うめ研究所提供)
梅の葉に付いたモモヒメヨコバイの成虫(県うめ研究所提供)
 梅などの葉に被害を及ぼす新たな害虫、モモヒメヨコバイの被害範囲が近年、紀南地方で広がっている。農家やJA、県などが警戒しており、県うめ研究所(みなべ町)は本年度から、本格的に防除対策の研究に取り組む。


 うめ研究所やJA紀南によると、県内では2019年に田辺市やみなべ町で初めて確認された。その後、上富田や白浜、印南の各町などでも確認されている。

 成虫は体長3ミリほどで、黄緑色。詳しい生態は分かっていないが、成虫は越冬し、幼虫、成虫とも葉に付いて吸汁する。吸汁された部分は白くなる。被害がひどい畑は大部分の葉が白くなったり、落葉したりする。

 県は田辺市下三栖の畑で、粘着シートを設置して10日置きに回収し、発生数を調べている。縦22センチ、横10センチのシートの面に、多い時には約3千匹が付着しているという。

 JA紀南の営農指導員によると、4月のこの時季の発生は小康状態だが、7、8月ごろに増え始める。

 これまでのところ、著しく樹勢が低下した例はないが、早期落葉するなどして樹勢に影響する可能性もあるため、警戒している。

 下三栖のある農家は、梅、スモモ両方の畑で発生し、目や鼻、耳などに入ってくるため、虫よけネットを頭からかぶって作業することもあるという。農家は「葉が被害を受けると、光合成での養分の蓄えが思うようにできないなど、すぐには目に見えない被害を受けることも考えられる。困っている」と話す。

 うめ研究所は本年度から、害虫の発生生態や木への影響、有効な薬剤などを調査、研究し、被害抑制に向けた技術開発をする。

 研究員は「最終的には被害が目立っている園地だけでなく、産地一体的な対策が必要になってくる。早期に有効な対策を見いだしたい」と話している。