和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月23日(月)

居酒屋でコントラバス コロナ禍にエールの演奏

居酒屋でコントラバスを演奏する谷脇友里恵さん(11日、和歌山県田辺市湊で)
居酒屋でコントラバスを演奏する谷脇友里恵さん(11日、和歌山県田辺市湊で)
 和歌山県田辺市湊の居酒屋「むそう」で11日、コントラバス奏者・谷脇友里恵さんのミニリサイタルがあった。クラシックや演歌の楽曲に乗って、低く深い音色がコロナ禍で苦境の飲食街にエールとなって響いた。

 企画したのは、5年ほど前から田辺市を訪れるたびに来店しているという谷脇さんと指揮者の矢澤定明さん。市内で谷脇さんのリサイタルがあった10日は「むそう」の開店13周年の記念日。お祝いと応援をしようと、滞在を予定より1日延ばして実現した。

 演奏したのは「この素晴らしき世界」「ジュピター」「コントラバスのための古風な組曲」「兄弟船」「宇宙戦艦ヤマトのテーマ」など多彩なジャンルの楽曲。来店客は飲食を楽しみながら聞き入り、演奏が終わると大きな拍手を送った。

 谷脇さんは「コンサート会場でもこんな間近で聴いてもらう機会はない。体の芯まで響く音を堪能してもらえたと思う。クラシックを聴いたことがない人も、大きな楽器に興味津々で、わくわくしながら聴いてくれているのが伝わった」と笑顔を見せた。

 矢澤さんは「私たち音楽家もコロナ禍で演奏の機会が失われていた。飲食店も厳しい状況が続いているが、少しでも元気につながればうれしい」とエールを送った。

 店主の小西正之さんは「クラシックは全く詳しくなかったが、付き合いの中で良さが分かってきた。自分の店で、常連客に聴いてもらえ感激した。飲食街の明かりを消してはいけない。最高のプレゼントをもらった。明日からさらに頑張る」と話した。