和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月19日(木)

企業誘致へ大規模造成 上富田で民間が計画

奥田誠町長(左から2人目)らに造成計画を説明する「泰建」の林静男代表(右から2人目)=和歌山県上富田町役場で
奥田誠町長(左から2人目)らに造成計画を説明する「泰建」の林静男代表(右から2人目)=和歌山県上富田町役場で
「泰建」が造成を計画している土地とその周辺。近くには上富田スポーツセンターがある(和歌山県上富田町提供)
「泰建」が造成を計画している土地とその周辺。近くには上富田スポーツセンターがある(和歌山県上富田町提供)
 不動産に関連する事業を手掛ける和歌山市の会社が、企業誘致に向けた大規模な土地開発を上富田町生馬で計画している。民間が土地造成と企業誘致に一体的に取り組むのは同町で初めて。町は「企業進出が決まれば町の活性化にもつながる」と期待している。

 和歌山市の企業は「泰建」(林静男代表)。京奈和自動車道の岩出根来インターチェンジ(岩出市)近くでの企業向けの土地開発や、スーパーマーケットを展開する松源(和歌山市)の店舗に関する事業などを手掛けてきた。

 上富田町での計画地は、上富田スポーツセンター近くの約7万8千平方メートルの山林などで、うち約2万6千平方メートルを企業向けの用地に造成する。泰建などによると、すでに土地は取得しており、県に対して必要な手続きを進めている。「来春以降に着工できるように手続きが進めば、来夏ごろには(用地の)姿が見えてくる。2022年度中には完成させたい」と話す。2年ほど前から計画していたという。

 造成の一環として、泰建は延長約400メートルの道(歩道を含め幅員10メートル)も整備し、町へ譲る方針。このほか、地元の救馬谷会館の建て替えにも協力するという。一連の事業には計数億円を投じる。

 泰建は、誘致する企業について「未定」としているが、関西全域に視野を広げて探したいとしている。阪和自動車道や湯浅御坊道路が4車線化されて京阪神との時間的な距離が縮まったほか、大地震に伴う津波の危険性がない土地でもある点をアピールしていく方針という。

 林代表らは27日、町役場を訪れ、奥田誠町長らに改めて計画を説明した。林代表は「町や地元の方々からは『地域を良くしたい』という声を何度も聞いた。その思いに何とか応えたい」と話した。

 奥田町長は「今回は民間による投資であり、これまでの町による造成・企業誘致とは異なる初めての形。雇用が生まれれば、さらなる人口増も期待できる話で、非常にありがたいこと」と歓迎した。