和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月20日(金)

木熟みかんの産地情報発信 香港向けにJA紀南

香港での木熟みかん販売PR用に、動画を撮影する農家やJA紀南職員(和歌山県上富田町で)
香港での木熟みかん販売PR用に、動画を撮影する農家やJA紀南職員(和歌山県上富田町で)
 和歌山県のJA紀南は、早生温州ミカンで、長く木に実をならせて完熟させた「木熟みかん」を香港などに輸出し、販売している。新型コロナウイルスの影響で現地に出向いて販売PRができないため、代わりに会員制交流サイト(SNS)で随時、収穫や選果の様子など産地情報を発信している。


 木熟みかんは香港や台湾で販売しており、本格的な販売は7年目。昨季は約9トンを販売した。今季はそれを上回る11トンを計画している。ショッピングモール内の店やスーパーマーケット、フルーツショップなどで販売されている。

 今季は新たに、香港の輸入卸売業者が、JA紀南と連携し、来年の中国春節(旧正月、2月1日)に向けた商材として、1月中旬から木熟みかんのオリジナルギフトを販売する予定もあるという。

 SNSによる情報発信は、輸出会社や現地の輸入卸売業者、販売者と連携して取り組んでおり、梅の販売シーズンに発信した際も消費者からの反応が良かったという。同JAの販売や広報の担当者が、ミカン畑での収穫や選果場での選果の様子などの動画を収録。それが11月後半から現地で配信されている。

 15日は、みかん部会長の前田泰輔さんの上富田町岡の畑でSNS用の動画を撮影した。前田さんは撮影の中で、木熟みかんの栽培について、木への負担や鳥獣害の心配があること、白いマルチシートを敷いて土に入る水分を調整して、味をコントロールすることなどを説明。「1年かけて作ったミカン。おいしく召し上がっていただきたい」と香港の消費者に向けて呼び掛けた。

 JA特販課の下岡三穗さんは「国内と比べると販売量は少ないが、海外にもファンがいるので少量でも販売を続けることが大事だと思う。SNSや新たなギフト販売などを通じ、紀南の木熟みかんを広く知ってもらえることを期待したい」と話した。