和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年11月23日(土)

農耕具の歴史知ろう 紀伊風土記の丘が企画展示

和歌山県立紀伊風土記の丘所蔵の犂
和歌山県立紀伊風土記の丘所蔵の犂
 和歌山市岩橋の和歌山県立紀伊風土記の丘が、夏期企画展「すき・すき・からすき―田んぼにお水が入るまで!」を開いている。長い間、和歌山の農家の仕事に関わってきた鋤(すき)、鍬(くわ)、犂(からすき)などの農耕具について、県内の民俗資料と考古資料を併せて展示し、知られざる紀州の農具の歴史を振り返る。展示資料は重要文化財の牛形の埴輪(はにわ)を含む約60点。9月1日まで。

 今からおよそ50年前まで、和歌山の田んぼでよく使われた農具の一つに犂がある。機械化する以前の稲作や畑の作業では、農家で飼われた牛に犂を引かせて田んぼや畑の土をすき起こしていた。この農具の歴史は古代にまでさかのぼる。

 犂は「大化の改新」が行われた7世紀中頃、大和政権による農業技術改革によって中国大陸から日本へ本格的に導入されたことが、近年の研究で明らかになってきた。もともと古代の渡来系農具であった犂は、その後およそ1300年もの間、基本となる形が代々受け継がれ、紀州の稲作に欠かせない農具として定着していった。

 今回の企画展では、犂の古い形とされる長床犂(ちょうしょうずき)に焦点を当て、その地域的な特色や技術の移り変わり、工作や牛に関わる暮らし、信仰などについて紹介する。

 関連行事として8月18日午後1時半から、紀伊風土記の丘研修室で展示講座がある。対象は小学生以上で先着30人。資料代100円と入館料が必要。参加申し込みは8月2日午後1時以降、電話(073・471・6123)で受け付ける。

 開館時間は午前9時~午後4時半(入館は午後4時まで)。月曜休館(祝日の場合は次の平日)。入館料は一般190円、大学生90円。高校生以下や65歳以上、障害者、県内に在学中の外国人留学生は無料。