和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年11月24日(日)

スマート農業できる畑に 田辺の農業法人、耕作放棄地を再生へ

農業法人「秋津野ゆい」が再生に取り組む、雑木が茂る耕作放棄地(奥)=和歌山県田辺市上秋津で
農業法人「秋津野ゆい」が再生に取り組む、雑木が茂る耕作放棄地(奥)=和歌山県田辺市上秋津で
 和歌山県田辺市上秋津の地域農業を支援する農業法人「秋津野ゆい」は、地域内の耕作放棄地を借り受け、リモコン式自走草刈り機などを使ったスマート農業ができる畑にしようと再生に取り組んでいる。雑木が茂る畑を刈り払って整地し、年内には梅の苗木を植える予定。担い手不足や耕作放棄地の増加といった課題解決を図る。


 上秋津地域では、農林水産省の実証プロジェクト事業として、地元農業法人や行政、JA、大学が共同事業体をつくり、ICT(情報通信技術)やロボット技術などを使ったスマート農業化に向けた取り組みを進めている。

 微気象観測装置のデータや農業日誌アプリ、リモコン式自走草刈り機を活用し、効率的な果樹生産を目指している。

 全国的に、高齢化や後継者不足など農業の担い手の課題があり、スマート農業はその課題解決策の一つとして、国を挙げて推進している。一方で、紀南地方の梅やミカンの畑は山の傾斜地に多く、スマート農業を導入するには、そうした農機が使える畑に整備することが課題となっている。

 そこで同法人は、地域内の山の斜面にある比較的平らな約30アールの耕作放棄地を借り受け、リモコン式自走草刈り機などスマート農業に使う機器が使いやすく、車も入りやすい畑に再整備して、効率的な生産ができる畑として復活させようとしている。

 現場はかつて梅畑だったが、長い間、耕作放棄されて、外からは梅の木も分からないほど雑木に覆われた状態。畑に至る土地も借りて、8月から進入路の整備にかかっている。事業費は250万~300万円の見込み。自己負担に加え、県農業公社や県の補助金も活用する。

 再生した畑は例えば、地域に滞在しながら農作業をする「農村ワーキングホリデー」や、仕事と休暇を組み合わせた「ワーケーション」で訪れた人が、農業を学ぶ場としても活用していきたい考えで、来年度から、この畑を栽培管理する専従者の確保も検討しているという。

 同法人は、今後も地域で可能な耕作放棄地があればスマート農業のできる畑への再生事業をしていきたいと考えている。