和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月19日(木)

大水害復興の軌跡を本に 和歌山県、記録や教訓まとめる

紀伊半島大水害から10年を迎え、これまでの軌跡をまとめた本を発行したと発表する仁坂吉伸和歌山県知事(県庁で)
紀伊半島大水害から10年を迎え、これまでの軌跡をまとめた本を発行したと発表する仁坂吉伸和歌山県知事(県庁で)
 和歌山県は発生から10年となった紀伊半島大水害の記録や軌跡、教訓などをまとめた「紀伊半島大水害復興10年の軌跡」(制作・紀伊民報)を発行した。仁坂吉伸知事は7日の会見で「印象的な写真や記述で、びっくりするようなことが起こったことが分かる。それにどう立ち向かったかなど、多くの県民や国民に知ってもらいたい」と話した。

 A4判、99ページ。被害の状況や応急期、復旧・復興の取り組み、教訓、紀伊民報が連載した被災地の住民インタビューなどを掲載している。1500部発行し、国や都道府県、県内の市町村や教育委員会、図書館、防災関係機関などに配布した。

 仁坂知事は「同じようなことを二度と起こらないようにすることが、われわれに課されている。(当時)どんなむちゃくちゃなことになったか、この10年どんなに皆が頑張ったか、それを踏まえ(被害を防ぐため)どんな用意をしているかを載せている」と述べた。

 表紙と裏表紙の写真は、被災地となった田辺市伏菟野のサクラで、仁坂知事は「地元の人が植えたサクラが成長してきた。復興のシンボルとして表紙にした」と紹介した。

 仁坂知事は5日、紀南4カ所で慰霊碑や記念碑に献花し、この本も供えた。このことについて「犠牲が繰り返さないように頑張っていますという意味でお供えしてきた」といい、その上で「全県で、行方不明になったり亡くなったりした人は61人。その人たちは帰ってこない。行政の責任者として、申し訳ないといつも思わないといけない。しかし、謝ってばかりではいけない。次は犠牲者を出さず、復旧復興をもっと早くしなければならないという思いだ」と語った。