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2024年12月20日(金)

2年連続神事のみ コロナ禍で「河内祭」

コロナ禍の影響で2年連続で神事のみとすることを決めた河内祭の保存会(串本町古座で)
コロナ禍の影響で2年連続で神事のみとすることを決めた河内祭の保存会(串本町古座で)
御舟の水上渡御は昨年に続いて中止が決まった(2019年7月、串本町古田で)
御舟の水上渡御は昨年に続いて中止が決まった(2019年7月、串本町古田で)
 串本と古座川の両町を流れる古座川を舞台に7月下旬に営まれ、国の重要無形民俗文化財に指定されている「河内祭(こうちまつり)」の保存会の会合が22日にあり、今年の祭りについて、新型コロナウイルスの感染が拡大していることを踏まえ、神事のみとすることを決めた。華麗な装飾を施した御舟(みふね)の水上渡御や獅子舞などが知られるが、コロナ禍により2年連続の中止。保存会の杉本喜秋会長(74)は「苦渋の決断」と話した。

 河内祭は、古座川の河口から約3キロ上流にある河内島をご神体としてまつる5地区(串本町古座、同町古田、古座川町高池下部、同町宇津木、同町月野瀬)の例祭。御舟による水上渡御や各地区の勇壮な獅子舞、古座中学校の生徒による櫂伝馬競漕(かいてんまきょうそう)などを見ようと、毎年、多くの見物人でにぎわう。1999年に「河内祭の御舟行事」として国の重要無形民俗文化財に指定された。

 この日の会合は串本町古座にある古座漁村センターであり、関係者13人が出席。杉本会長が感染が拡大していることを踏まえ、今年の祭りについて意見を求めた。出席者からは「非常につらいが(新型コロナの感染状況は)去年以上になってきている」「今年は何とかと思っていたが、3、4月になって風向きが厳しくなってきた」「御舟を自衛隊にお願いしているが、頼める状況ではない。櫂伝馬も中学生に頼めない」といった声が相次ぎ、今年も昨年同様に神事のみとすることを決めた。

 一方で中止が続くことに対し「櫂伝馬の経験がない人ばかりになってしまう」「何年も祭りをしなくなると、次が大変だ」と懸念の声も漏れた。

 古座区の南藤房男区長(73)は「非常に残念だが、仕方がない。ワクチン接種が進み、来年は確実にできると思う」。杉本会長も「やりたいのはやまやまだが、今は辛抱の時。来年は必ずやりたいので、もうちょっと早くから話し合いをして進めていきたい」と、来年の「復活」に期待を込めた。

 今年の河内祭は、7月24日午後7時から宵宮祭(古座神社)、25日午前9時から渡御祭(古座神社)、同日午前10時から大前ノ儀(河内神社)などを営む予定という。