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2024年12月19日(木)

江戸時代の色彩再現を検討 修理中の世界遺産闘雞神社

保存修理事業で江戸時代後半の色彩の再現を検討している闘雞神社(和歌山県田辺市東陽で)
保存修理事業で江戸時代後半の色彩の再現を検討している闘雞神社(和歌山県田辺市東陽で)
 和歌山県田辺市東陽にある世界遺産、闘雞神社(国指定重要文化財)は、社殿6棟のうち、本殿と上殿(かみでん)の2棟を中心に保存修理と建築調査をしている。来年7月の完成予定。両殿の檜皮(ひわだ)ぶき屋根が新しくなる。

 神社から委託を受けた県文化財センターが昨年9月、両殿の分解工事や修理に向けた調査を開始。本年度から破損箇所の修繕、屋根工事、塗装工事を実施する。総事業費は1億3千万円で、内訳は国庫補助金9100万円、県・市補助金1024万円、神社負担金2876万円。

 センターによると、檜皮ぶき屋根は、本殿が36年、上殿が25年経過し、劣化が進んでいた。屋根を支える軒などが腐ったり、シロアリ被害があったりして、傾いている箇所もあったという。

 両殿は、かつて軒などが塗装や彩色で飾られていたが、大正時代以降に塗装などの修理が行われていなかったため、その様子が目立ちにくい状態だった。今回の修理に合わせて、彩色内容を調査し、江戸時代後半の彩色に戻すかどうかなど6月に文化庁と協議する。

 両殿は、約360年前の建造。本殿は約230年前、上殿は約190年前に全面的な塗装、彩色修理が行われていた。軒先の緑色や壁板の白と赤の塗り分けなど、配色に地域性がうかがえるという。

 修理を担当している県文化財センター文化財建造物課の下津健太朗さんは「塗装には木材の保護や防虫の効果もある。明治時代を最後に、塗装がされていない理由は分からない」と話した。