和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月24日(火)

人工知能活用し受診率向上へ みなべ町の特定健診

和歌山県みなべ町が特定健診の勧奨のために送った5種類の案内はがき
和歌山県みなべ町が特定健診の勧奨のために送った5種類の案内はがき
 和歌山県みなべ町は7、8月に実施する特定健診の対象者に、お知らせや希望調査票を送った。同町の受診率は2019年度で51・2%と県内で2番目に高い。19年度は、人工知能(AI)を活用した受診率向上事業を手掛ける会社に委託し、申し込みがなかった人に再勧奨したところ、成果が見られたため、本年度も同事業で受診率アップを図る。


 特定健診は生活習慣病の予防のために、40~74歳を対象に、メタボリック症候群に着目した健診を行うもので、国は年に1度受けて、改善が必要な場合、特定保健指導を受けるように勧めている。

 みなべ町は特定健診費用を無料とし、対象者を35~75歳に広げている。集団健診で一日でがん検診もセットで無料で受けられるようにしている。町は「若い世代の受診率が低いので、早くから健診への意識を持ってもらおうと対象を広げている」という。

 同町の近年の受診率を見ると、17年度45・6%(県平均33・6%)、18年度47・5%(同35・4%)、19年度51・2%(同36・3%)だった。20年度はデータがまとまっていないが、41・9%に下がる見込みという。

 同町の受診率は県内では17、18年度は北山村、日高川町に次いで3番目に高く、19年度は北山村の55・1%に次ぐ2番目。20年度が41・9%の見込みと下がっているのは、新型コロナウイルスが影響したとみられ、実際、希望調査票に、新型コロナが心配で受診しないと書いていた人もいたという。

 19年度の年代別の受診率をみると、男性では65歳以上は50%を超えているが、64歳以下は50%を割り込み、45~49歳は39・3%などと、年代が下がるに連れて低い傾向にある。女性は65~69歳や60~64歳が57・2%などと、男性と比べると各年代で高い傾向にあるが、45~49歳は44・1%と低い。

 町によると、AIを活用した特定健診受診率向上事業は、近隣自治体でも導入しているところがあり、同町は19年度、事業を実施する会社に委託した。AIを生かして受診勧奨を誰に送るべきか解析し、対象者を5分類し、それぞれ違う呼び掛け方をした。その結果、1618人に再勧奨し、156人が受診。うち、初めて受診した人は75人いたという。

 20年度は、AIによる受診率向上事業はしなかったが、本年度は導入。今月6日に、希望調査票(30日必着)を送った後、16日にAIでの分析を生かして全対象者のタイプを分類し、勧奨した。締め切り後、1回の勧奨でも返信がなかった人に、再勧奨する予定にしている。

 町健康長寿課は「若い世代の受診率の底上げが大事だと考えている。本年度も新型コロナ感染予防対策をして実施するので、受診率が例年並みに回復してくれれば」と話している。