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「喜びより不安」の声 緊急事態宣言解除、日常回復には時間

和歌山県の白浜温泉街
和歌山県の白浜温泉街
 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言が14日、和歌山県など39県で解除された。経済の回復や学校の再開に期待する声がある一方、紀南の市民からは「喜びより、不安の方が大きい」という意見が目立った。


 白浜町の白浜温泉旅館協同組合(加盟24施設)の3月の宿泊者数は3万4693人で前年同月比の約3分の1、4月は7691人で10分の1以下に落ち込んだ。

 緊急事態宣言は解除されたが、白浜温泉街では「劇的に好転することはない」との声が聞かれる。毎年、300万人超の観光客が訪れるが、大阪や兵庫、京都など「特定警戒都道府県」からの来訪も多いためだ。

 ある宿泊施設は「受け入れる立場としては、これまで以上に衛生管理をしっかりやらないといけない」と気を引き締める。休業を続ける町内の観光施設の動向も注視していくという。

 外出自粛で苦境に立つ飲食店も楽観視はしていない。田辺市湊で居酒屋を経営する男性(36)は「県外も含めた人の動きが活発になり、感染がまた拡大しないか心配。うちは今月末までは、テークアウト(持ち帰り)のみを続ける。今年中は例年通りの営業は難しいと覚悟している。今は店を維持できれば、もうけはいい。田辺の飲食店から感染者を出してしまうと取り返しがつかない」と慎重だ。

 宣言が出る以前から外出を控え、外食もしていないという同市栄町の会社員女性(23)は「正直、まだ外出はできない。飲み会が好きで、事態が収束したら集まろうと、いくつも約束しているけれど、実現はもっと先になると思っている。感染そのものより、感染したことに対する世間の反応が怖い」と当面自粛を続けるつもりだ。

 ホテルや飲食店、土産物店との取引が多い同市福路町の海産物加工会社を経営する男性(50)は「商売はコロナの直撃を受けており、解除してくれてホッとしている。しかし、すぐに回復するとは思っていない。感染が拡大するようでは困るし、複雑な心境。夏ごろまでには安心して観光客を迎えられるようになったらいい」と期待する。

 3月から休校が続く学校も再開に向けて動きだしている。小学6年生と4歳の子どもがいる同市湊の女性(37)は「子どもたちも長期の休みで生活リズムが崩れている。学習面や体力面が心配。解除され、日常が少しずつでも戻るのはありがたい。それでも感染に対する不安は拭えない。感染の第2波ですぐ休校になるようでは困る」と話した。

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