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田辺祭が戦後初の中止 新型コロナ、笠鉾巡行せず神事のみ

昨年夏に営まれた田辺祭。市街地を練る祭りの一行(2019年7月24日、和歌山県田辺市本町で)
昨年夏に営まれた田辺祭。市街地を練る祭りの一行(2019年7月24日、和歌山県田辺市本町で)
 紀州三大祭りの一つとして知られる「田辺祭」について、主催する田辺祭保存会は10日、今夏の開催中止を決めた。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、笠鉾(かさほこ)の巡行など人が集まる祭事を中止する。闘雞神社(和歌山県田辺市東陽)の神事「暁の祭典」は、神職や総代のみで行う方針。神社によると、中止は戦時中だった1945(昭和20)年以来、75年ぶり。


 田辺祭は毎年7月24、25日に営まれる。保存会によると、今年で461回目とされる歴史を持ち、同市の夏の風物詩にもなっている。笠鉾や衣笠(きぬがさ)がお囃子(はやし)とともに市街地を練り、25日早朝には「暁の祭典」と呼ばれる神事で舞姫が舞う。流鏑馬(やぶさめ)の行事もある。

 この開催について10日、14ある氏子町の総代や笠鉾協賛会のメンバー、神職らが闘雞神社に集まり、協議。新型コロナの感染拡大防止に配慮し、換気を徹底するなどして短時間で話し合った。

 参加者からは、学校が休校となっている現状や、3密(密閉、密集、密接)を避けることの難しさ、ワクチンがまだないことなどを指摘する声が上がった。協議の結果、人の集まる状態をつくらないという観点から、笠鉾の組み立てや巡行、みこし渡御行列、役馬町回り、流鏑馬行事などは中止となった。

 また、祭事の中止を受けて笠鉾協賛会では、今年は協賛金を集めることを見合わせることも決定した。

 闘雞神社総代会の高田英雄会長(82)は取材に対し「台風により祭りが途中で中止となったこともあるが、今回のように早くから中止を決めたのは、おそらく過去に例がない。苦渋の決断だったが、祭りで新型コロナの感染を広めることは絶対にあってはならない。来年はもっと盛大に、2年分楽しめるような祭りにしていきたい」と語った。

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