ニホンミツバチ激減 飼育者困惑「見掛けなくなった」
紀南の山中に設置されているゴウラ(巣箱)から昨年来、ニホンミツバチの群れが姿を消している。環境の変化や害虫など、さまざまな要因が重なっているとみられている。これから群れが大きくなって蜜を蓄えるシーズン。飼育農家らは「ミツバチを山で見掛けなくなり、巣箱に入ってくれない。今後どうなるか分からない」と困惑している。
ニホンミツバチは、人間に蜜を提供するだけでなく、花を交配させて種子をつくり、豊かな森林を維持するという自然界の重要な存在である。世界農業遺産「みなべ・田辺の梅システム」では受粉を手伝うという役割を担っている。
田辺市向山の長朝秀さん(69)は30年以上前からミツバチの飼育をしており、自宅周辺などに約30基の巣箱を設置している。異変が顕著になってきたのは昨年秋ごろから。サナギや幼虫が次々と死んで巣箱の外に運び出される様子を頻繁に目撃したという。
長さんは「ほとんどの巣箱が空の状態。巣を掃除するなどミツバチの群れが入りやすいように準備は進めているが、どうなるか分からない」と肩を落とす。
同市合川の谷口芳治さん(80)は50基ほどの巣箱で飼育していたが、昨年春ごろから巣箱の周辺で次々と死んで群れが壊滅状態になったという。「ダニの発生も影響していると聞くが、はっきりした原因は分からない」と話す。
県紀南家畜保健衛生所(上富田町)によると、天敵であるスズメバチの増加や蜜源の不足、台風の塩害、ダニの寄生など、地域によっても異なり、さまざまな要因が考えられるという。「よく巣箱を観察して、早め早めにそれぞれの対策を講じてほしい」と呼び掛けている。
昨年のデータによると、同所管内でのニホンミツバチの飼育者は208農家で巣箱は1383基だった。
ニホンミツバチは、人間に蜜を提供するだけでなく、花を交配させて種子をつくり、豊かな森林を維持するという自然界の重要な存在である。世界農業遺産「みなべ・田辺の梅システム」では受粉を手伝うという役割を担っている。
田辺市向山の長朝秀さん(69)は30年以上前からミツバチの飼育をしており、自宅周辺などに約30基の巣箱を設置している。異変が顕著になってきたのは昨年秋ごろから。サナギや幼虫が次々と死んで巣箱の外に運び出される様子を頻繁に目撃したという。
長さんは「ほとんどの巣箱が空の状態。巣を掃除するなどミツバチの群れが入りやすいように準備は進めているが、どうなるか分からない」と肩を落とす。
同市合川の谷口芳治さん(80)は50基ほどの巣箱で飼育していたが、昨年春ごろから巣箱の周辺で次々と死んで群れが壊滅状態になったという。「ダニの発生も影響していると聞くが、はっきりした原因は分からない」と話す。
県紀南家畜保健衛生所(上富田町)によると、天敵であるスズメバチの増加や蜜源の不足、台風の塩害、ダニの寄生など、地域によっても異なり、さまざまな要因が考えられるという。「よく巣箱を観察して、早め早めにそれぞれの対策を講じてほしい」と呼び掛けている。
昨年のデータによると、同所管内でのニホンミツバチの飼育者は208農家で巣箱は1383基だった。