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子どもに山への親しみを 製炭士らが「やまの音楽会」計画

子どもに炭や山に親しんでもらおうと音楽会の開催に向けて練習する有志(和歌山県みなべ町清川で)
子どもに炭や山に親しんでもらおうと音楽会の開催に向けて練習する有志(和歌山県みなべ町清川で)
 子どもたちが紀州備長炭や山に親しむきっかけにと、和歌山県みなべ町清川の製炭士、原正昭さん(49)や仲間が「やまの音楽会」を計画している。有志による音楽演奏や歌を楽しんでもらい、原さんが炭焼きや山のことについて語る。原さんは「弁当を持って家族連れで来てもらえるような音楽会ができれば。時期を見て開きたい」と話している。

 紀州備長炭は特産の一つだが、地域ではウバメガシの原木や炭焼きの後継者の不足が課題となっている。原さんは県木炭協同組合代表理事で県と協力して「山づくり塾」を開き、若い木は残して切り、資源を循環させる「択伐」という方法の普及に努めている。そうした取り組みに加えて子どもたちへの教育として、音楽会ができればと考えた。

 このほど、清川の名之内地区にある原さんの炭焼き窯に、若手炭焼き職人や町地域おこし協力隊員、地域で音楽と紙芝居を披露する人、子どもなどが集まり、練習した。

 はじめに原さんは、昔の自分たちが子どもの頃の時代と比べ、今の子どもたちは山で遊ぶ機会が少なくなっているといい「炭もだが、山をもう少し知ってもらって、遊び場にしてほしい。音楽好きが集まってできないかと考えた」と思いを語った。

 煙を上げ、口から赤い炎がのぞく窯を前に、集まったメンバーがギター、アコーディオン、ピアニカ、尺八などを手にしたり、カホンという楽器に座ったりし、原さんが振る炭の指揮棒に合わせて、アニメの歌や替え歌などを演奏した。子どもも喜んで歌ったり、踊ったりした。

 演奏の合間「これはいま、炭を焼いているんですか」と聞くメンバーに、原さんは「『口だき』といって、木の水分を抜いているところ」「紀州備長炭って、ウバメガシだけと思っている人がいるけど、ウバメガシやカシを焼いたもの」「木を切って山を育てるのが炭焼きの一番大事なこと」などと説明を挟んだ。

 原さんに炭焼きの指導を受けている田辺市秋津川の堀部剛史さん(39)は「子どもが森のことを学び、山を好きになるきっかけになればいいなと思う」、同町埴田の芦硲宏仁さん(45)も「子どもが山に行きたくなるような紙芝居を作りたい。協力したい」と語った。

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