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備長炭生産量ピークの3割に 原木不足や後継者育成が課題

和歌山県みなべ町の年度別備長炭生産量
和歌山県みなべ町の年度別備長炭生産量
 和歌山県みなべ町の2018年度の備長炭生産量は157トンで過去20年間でピークだった04年度の507トンと比べ、3割程度に落ち込んでいる。原木であるウバメガシの確保や後継者の育成が課題となっており、関係者が危機感を持っている。今後、ウバメガシの植樹もしていこうと考えている。

 町内でこのほどあった、みなべ町備長炭生産者組合(森口道夫会長)の総会で、1998年度以降の生産量の推移が示された。それによると、04年度をピークに、08年度までは300トン以上の生産量があった。しかし、09年度からは200トン台に下がり、12年度は163トンに。その後は少し回復傾向にあったが、15年度の220トン以降は減少続きで18年度は過去最低になった。

 県木炭協同組合の原正昭代表理事によると、ウバメガシ中心の伐採や効率重視の伐採によって原木不足が生じてきているという。

 町内の青年農業者クラブが、耕作放棄地の梅の木を切った畑で、可能な場所にはウバメガシを植えていこうという取り組みをしていることもあり、組合総会では、事務局の松本貢・みなべ川森林組合参事が「一般の人とも一緒にウバメガシの植樹に取り組んでいきたい」と提案した。

 それに対し、会員からは「現実的にはできない」という声も出た一方で「何とかしないといけない。僕らの代で結果は出ないかもしれないが、放っておくと余計悪くなる。僕らも、先代が残してくれた木を切っているという気持ちで切っていかなければいけない」という声もあった。

 「やまづくり塾」を開き、若い木を残す「択伐」の普及に努める原代表理事は、適切な択伐によって自分の代で同じ山を2回、3回と切れることや、ウバメガシ以外のカシ類なども炭に焼いて利用することの大切さを訴えた。

 松本参事は「生産量が減少しており、何とか歯止めを。原木がないので焼けないという声も聞く。次の世代に産業をつなぐ意味で手を入れないと、5年後には半分になる印象を持っている」と危機感を示した。後継者育成の取り組みの必要性も呼び掛けた。

 あいさつで小谷芳正町長は「日本一の炭のまちと言っていたが、程遠くなってきた。備長炭の需要は多いと思うが、供給していかないことには経済が回らなくなる。皆さんの話を聞き、行政として支援できるところはしていきたい」と述べた。

 森口会長は「原木不足は厳しく、生産量は年々減っていくと思う。何とかしないといけない。将来のためにも、できる場所ではウバメガシの植樹もやりたいと思っている」と話している。
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