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火災から文化財守れ 串本の無量寺と善照寺で訓練

無量寺で放水活動をする消防署員(5日、串本町串本で)
無量寺で放水活動をする消防署員(5日、串本町串本で)
善照寺本堂から文化財に見立てた模造品を運び出す門信徒(4日、串本町古座で)
善照寺本堂から文化財に見立てた模造品を運び出す門信徒(4日、串本町古座で)
 串本町古座の善照寺で4日、同町串本の無量寺で5日、文化財防火デー(1月26日)の頃に毎年実施している消防訓練があった。


 無量寺は町教育委員会と共催で、毎年訓練をしている。本堂付近から出火し、延焼中との想定で実施した。檀家(だんか)が境内にある応挙芦雪館から文化財に見立てた模造品を搬出。消防車で駆け付けた署員が消火活動に当たった。

 善照寺は町教委と共催で、隔年に訓練をしている。本堂台所から出火したと想定し、門信徒約10人が文化財に見立てた模造品を本堂から搬出。駆け付けた消防署員が放水した。

 いずれの訓練でも、町消防本部の立花昌也予防主任が訓練参加者に消火器の使い方を説明。ほうきで掃くように薬剤を噴出させることなどを話し「まず自分の逃げ道を確保してから、消火活動をしてほしい」と話した。

 訓練終了後は、いずれも町消防本部の泉紀人予防課長が講評。火災が発生した際は119番通報、初期消火、避難誘導、文化財の持ち出しの四つが重要だと述べ「大切な文化財を後世に引き継いでいくため、地域住民で協力して守ってほしい」と呼び掛けた。

 無量寺の応挙芦雪館と収蔵庫には、国の重要文化財に指定されているふすま絵55面など、江戸期の画家、円山応挙と弟子長沢芦雪の作品が展示、保管されている。総代長の前芝雅嗣さん(71)は「串本にとって大切な寺。火を出さないことが第一だが、万一のために訓練をしておかねばならない」と話した。

 1765年に地元産のケヤキを使って建てられた善照寺は、太鼓が納められた山門や、霊獣「水犀(すいさい)」2頭が彫られた梁(はり)などがあり、町文化財に指定されている。所蔵する鎌倉時代作の「絹本阿弥陀三尊仏画」(非公開)は国の重要文化財に指定されている。山本昭隆住職(75)は「地震などの災害と同様、火災もいざという時に冷静さを失わないために訓練を重ねることが本当に大事」と話した。

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