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カップ麺を使いながら備蓄 地域の災害対策で龍神のカフェ

災害用備蓄品とメニューを兼ねているカップ麺(和歌山県田辺市龍神村福井で)
災害用備蓄品とメニューを兼ねているカップ麺(和歌山県田辺市龍神村福井で)
 地域の災害対策の一助にと、和歌山県田辺市龍神村福井のカフェが、世帯数をカバーする数のカップ麺を備蓄している。商品数は100個以上、約40種ある。災害用食品を普段から消費しながら備蓄する「ローリングストック」として、カフェで提供している。

 店主の道下優海さん(38)は、以前勤めていた大手企業で防火防災責任者を経験。大量の非常食を備蓄し、賞味期限が迫ってくると新しいものと入れ替えるという作業をし、効率的な備蓄について思いがあった。

 カフェは道下さんがIターンした翌年の2019年にオープンさせた旭屋心禄(あさひやころく)。オープンの2カ月ほど前、地元の食料品店が廃業。買い物をする店に不自由している住民の声も聞いた。そこでカップ麺をカフェの商品として消費しながら、地区の備蓄品につなげられると発案した。

 周辺の世帯数は約30戸。その数を意識し、ラーメンや焼きそばといったカップ麺、カップ入りスープをそろえた。店内で商品を陳列し、並びきらないものは写真入りのメニュー表で紹介している。

 利用者は広がりを見せ、アユ釣り客や土木現場の作業員らが簡便な食事として利用。一方、1人での食事が味気ないという近所の高齢者が店内で食べることもあるという。

 一昨年の台風でこの辺りは3日間停電したこともあり、備蓄品の必要性を痛感。カップ麺は災害時に無料配布するつもりだという。

 道下さんは「(ローリングストックにより)個人レベルでも無理をせず、地域の災害に貢献できると考えた。Iターンして周囲の皆さんに日頃からお世話になっており、地域の助け合いに参加したい」と話している。

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