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「熊楠の思考 未来につながる」 中沢さん講演、東京で世界遺産シンポ

基調講演する中沢新一さん(15日、東京都千代田区で)
基調講演する中沢新一さん(15日、東京都千代田区で)
 和歌山県田辺市は15日、「紀伊山地の霊場と参詣道」の世界遺産登録20周年を記念したシンポジウム「南方熊楠と熊野」を東京都千代田区の明治大学駿河台キャンパスで開いた。約520人が聴講。第26回南方熊楠賞受賞者で人類学者の中沢新一さんは基調講演で、熊野に残る原始的な宗教や自然が南方熊楠の思考を形作ったと指摘し「熊楠の思考は今の人類が生み出そうとしている新しい世界観につながる。熊楠の目指したものに近づいていきたい」と、先進性をたたえた。

 中沢さんは「熊野にわけいった熊楠」と題して講演。丸石を祭る文化や修験道、熊野三山の起源など熊野の宗教について説明した上で「熊野には縄文時代からの自然と一体になった原始的な宗教があり、そこに南方熊楠が出現したのは必然」と述べた。

 熊楠の思考については「熊楠の文章は意味が分からないと言われる。焦点が定まらない。論文はとりとめないが、すごいとしか分からない。そのすごさは思考法の違い、世界観の違い。南方の思考には常識がない。脱近代というよりもっと先に行っている」と、原始的な思考がむしろ未来につながることを強調した。

 続いて、小説家の島田雅彦さん、紀行作家の高森玲子さん、真砂充敏田辺市長が加わりパネルディスカッションが開かれた。コーディネーターは南方熊楠顕彰会理事の志村真幸さんが務めた。「熊楠の見た熊野、そしてこれからの熊野」をテーマに意見を交わした。

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