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恩返しの献血運搬車7台目 印南の会社社長、父の遺志継ぎ贈る

岡本宏之さん(中央)から車の寄贈を受ける、県赤十字血液センターの住友伸一所長(左)=21日、和歌山県上富田町生馬で
岡本宏之さん(中央)から車の寄贈を受ける、県赤十字血液センターの住友伸一所長(左)=21日、和歌山県上富田町生馬で
 和歌山県印南町印南で、肥料の販売などを手掛ける「岡本殖産」社長の岡本宏之さん(55)は21日、上富田町生馬の県赤十字血液センター紀南出張所に、父の遺志を継いで7台目となる献血運搬車「幸美号」を寄贈した。車は紀南地方を中心に、善意の血液を病院に届ける。

 センターによると、献血運搬車の寄贈は、2019年2月に亡くなった岡本さんの父、崇さんが1975年9月から続けてきた。「幸美号」は、宏之さんの妹で、当時3歳で小児がんで亡くなった三女の幸美さんの名前にちなんでいる。

 幸美さんの血液型は、日本人の約500人に1人しかいないとされる「A型Rhマイナス」だった。治療の際、多くの人が輸血に協力してくれた恩返しとして、幸美さんが亡くなった75年に1台目の「幸美号」を寄贈。その後も、83年、91年、99年、2007年、13年と、計6台を寄贈し続けた。

 幸美号は、当初は県内全域で、輸血用血液の搬送に使われていたが、1984年に県田辺赤十字血液センター開所後は、紀南地方を中心に血液の搬送に使われてきた。

 寄贈式は血液センター紀南出張所であった。宏之さんが県赤十字血液センターの住友伸一所長(66)に目録を手渡した。

 宏之さんは「幸美号が命の絆をつないでくれているという思いが父にはあった。これからも頑張って続けていけたら」と話し、住友所長は「人と人とが支え合う心のつながりこそが献血のあるべき姿。善意の血液を患者に届けるため、使用させていただきたい」と謝辞を述べた。

 同センターによると、6台目の幸美号は今後、紀北地方で活躍する予定という。

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