田中圭、『わたしの宝物』“托卵される”夫の結末知らず…「しんどそう」な作品にこそやりがい【インタビュー】
夫以外の男性との間に子どもを作り、夫の子と偽って育てる“托卵”をテーマにしたフジテレビ系木曜劇場『わたしの宝物』(毎週木曜 後10:00)。ドロッとした人間模様とささいなすれ違いから起こる悲劇のなかで、俳優・田中圭(40)演じる宏樹は視聴者の心を大きく揺さぶる存在となっている。
【写真】透明感あふれる!純白ドレス姿の松本若菜
主人公・美羽(松本若菜)の夫・宏樹は、第1話では妻にひどい態度を取り続ける“モラハラ夫”、第2話以降、そのバックグラウンドや本音が明らかになっていき…第4話放送時点では“良き父親”に変ぼう。自身は「まったく共感できない」という田中が今作や役柄についての思いを語る。
■絶妙な“モラハラ夫”→“良いパパ”変ぼうが話題に 周囲からは「普段と真逆!」
取材時点では第1話の放送直後ということで「周りからも『ひどい夫だったね』とやっぱり言われますし、そもそも自分が第1話見て、自分の想像以上に宏樹がひどかったです。…何事も話題になるのはいいことだからとポジティブに捉えていました。第4話時点では結局、あれはなんだったの?と思うぐらい宏樹がすごく良い人になっています。僕的には“いや、実際こんな人いるのかな~?”と思って演じているんですけどね」と苦笑する。
初回こそ、放送直後SNSでは「うますぎて腹立つ笑」「田中圭のモラ夫役最高だね」「5分で嫌いになった」「なんてやつだ!」とその“嫌なヤツ”ぶりに注目が集まったが、実は会社でひどいパワハラに遭い、美羽への態度に罪悪感を抱えた宏樹は、子どもにもつらくあたってしまうことを懸念し、美羽に「必要なお金をわたす代わりに子育てには関与しない」と約束。だが、実際に美羽の子を抱くと涙をみせ栞と命名すると徐々に態度を改め、“父親”へ変化していく。
「第1話で気をつけたのは、とにかく僕が演じる宏樹がすごく嫌な夫でいないと、托卵というテーマで、中学時代の回想があるとはいえ、美羽と(子どもの父である)冬月に対して疑問を持たれてしまうのではないかということ。第1話の段階では僕が美羽を追い詰めて僕が悪者にならないと、美羽が視聴者の敵になってしまうので、なるべく嫌な夫に映ればいいなとは思っていました」と意図を明かす。
一方で「第2話で、なぜ宏樹がこうなってしまったかが描かれ、そこから子ども(栞)が生まれて、結婚した当初の夫婦に戻っていく。第3話ではもう“宏樹、すごく良い人!”という印象がありました。ただ嫌な人を全開にするのではなく、第3話で良い人に戻るためにその要素は少し残さなきゃ…」と微調整を重ねた。
これまで演じてきた“嫌な人”と決定的に違うのは「実際に宏樹はものすごく美羽が好き」だということ。「会社でいろいろあって、家でひどい態度をとってしまう理由は好きすぎるがゆえの甘え。美羽にはぶつけやすいし、ぶつけちゃう。それでも許してくれるとわかっているから、どんどん甘えてしまう。美羽に対する甘えという感覚で演じました。今回の宏樹は“好きだから甘えちゃった”みたいなのが根底に残っていれば、家族が増えたときに、そこで元の宏樹に戻れるかな?と考えました」と役を構築していった。
演じる上では「声のトーンや感覚がわかるし、自分に近ければ近いほど楽だとは思います。やりにくいと言うと少し難しいのですが、これでいいのかな?と思いました。自分にはない感覚のセリフやどうしたらもっと美羽が傷つくかなと考えながらお芝居をすることは、なかなかない。そういう意味で言うと、やっぱり自分とかけ離れてる役が演じやすいということはないですね」と難しさも感じつつ、目の動かし方までさじ加減に注力した。
神崎夫妻については「繊細な夫婦だな~」と客観視する田中だが、宏樹に共感できる点は「まったくないです(笑)」ときっぱり。「北村(一輝)さんに(第一話のように)『圭、普段からああいう感じなんでしょ?』とイジられたりもします。でも、1番うれしかったのがすごく仲良しのプロデューサーから『普段と真逆!しかも1番嫌いなタイプの人だね!さすがでした』と連絡が来て…でしょう!?って(笑)」と得意げに笑った。憎たらしいほどのモラハラ夫から、可哀想だと思えるくらいの悲劇の夫を見事に熱演している。
■演じる側も展開にヤキモキ「もう冬月!お前、もう出てくるなよ!」
オファーを受けた際にも「しんどそうと思った」という田中。「ただ、なにか考えさせ、ハッとさせ、心が揺らぐことも実は大事。今はなんの気なしに見ていて“何も残らないけど楽しかった!”という作品もいっぱいある。でも僕はどちらかというと、チクッと心に刺さったり、フックがかかるような、難しかったと感じる作品の方が好きなんです。この作品は何を伝えているのだろう、この作品を見て何を感じ取ればいいんだろう。そういう感想を持つことが僕自身は好きなんですよね。だから自分もそういう作品に関わりたいと思っています。お芝居としても、すごくやりがいのあるお仕事だなと思っています」と力を込めた。
気になるのは今後の展開。「(視聴者には)宏樹の味方になってほしいとは別に思わないですが多分味方になってくれると思います。宏樹がかわいそうなので(笑)。第1話だと『なんだ、こいつ!』『冬月のところいっちゃえ!』みたいなになっても全然おかしくないですが…5話、6話ぐらいになると『冬月!もう出てくるなよ!』と少し思いました。冬月、もういいよ~。もう!なにしてんだよ!2人(美羽と宏樹)がここからもう家族としてやり直そうとしてるのに!って(笑)」と田中自身もはがゆく感じているそう。
実は、現時点で田中は結末を知らない。「夫婦にはいろんな形があるので、この世界のあの2人がどういう決着をつけるのか、離れるのか、一緒になるのか、じゃあ栞ちゃんはどうなるのか…は気になります。でも、プロデューサーから栞ちゃんが“かわいそうだ”という見られ方は絶対にさせたくないというのを聞いていたので、確かになと。そういう点でもどうなるのかなと楽しみにしています」と期待をかける。
「“過ち”という言い方はあんまり好きではないですが、その言い方が1番しっくり来ると思うので、あえてその言葉を使いますが、ひとつ先に進んでしまえば、もう過去のこと。それを過ちにするのか、経験にするのか、逆に正解にするのか、きっかけにするのか、この先を生きようとする人たちが決めること。美羽が冬月との子どもを作ったということを、それぞれがどういう風に“過去”にするのか。多分、それぞれが違うとは思いますが栞ちゃんがいる上で、この先を生きていくみんながどう決着をつけるのか。視聴者のみなさんにも、最終的に、前を向くことはやっぱりいいよね、と思ってもらえるドラマになればいいなとは思います」と願っていた。
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■絶妙な“モラハラ夫”→“良いパパ”変ぼうが話題に 周囲からは「普段と真逆!」
取材時点では第1話の放送直後ということで「周りからも『ひどい夫だったね』とやっぱり言われますし、そもそも自分が第1話見て、自分の想像以上に宏樹がひどかったです。…何事も話題になるのはいいことだからとポジティブに捉えていました。第4話時点では結局、あれはなんだったの?と思うぐらい宏樹がすごく良い人になっています。僕的には“いや、実際こんな人いるのかな~?”と思って演じているんですけどね」と苦笑する。
初回こそ、放送直後SNSでは「うますぎて腹立つ笑」「田中圭のモラ夫役最高だね」「5分で嫌いになった」「なんてやつだ!」とその“嫌なヤツ”ぶりに注目が集まったが、実は会社でひどいパワハラに遭い、美羽への態度に罪悪感を抱えた宏樹は、子どもにもつらくあたってしまうことを懸念し、美羽に「必要なお金をわたす代わりに子育てには関与しない」と約束。だが、実際に美羽の子を抱くと涙をみせ栞と命名すると徐々に態度を改め、“父親”へ変化していく。
「第1話で気をつけたのは、とにかく僕が演じる宏樹がすごく嫌な夫でいないと、托卵というテーマで、中学時代の回想があるとはいえ、美羽と(子どもの父である)冬月に対して疑問を持たれてしまうのではないかということ。第1話の段階では僕が美羽を追い詰めて僕が悪者にならないと、美羽が視聴者の敵になってしまうので、なるべく嫌な夫に映ればいいなとは思っていました」と意図を明かす。
一方で「第2話で、なぜ宏樹がこうなってしまったかが描かれ、そこから子ども(栞)が生まれて、結婚した当初の夫婦に戻っていく。第3話ではもう“宏樹、すごく良い人!”という印象がありました。ただ嫌な人を全開にするのではなく、第3話で良い人に戻るためにその要素は少し残さなきゃ…」と微調整を重ねた。
これまで演じてきた“嫌な人”と決定的に違うのは「実際に宏樹はものすごく美羽が好き」だということ。「会社でいろいろあって、家でひどい態度をとってしまう理由は好きすぎるがゆえの甘え。美羽にはぶつけやすいし、ぶつけちゃう。それでも許してくれるとわかっているから、どんどん甘えてしまう。美羽に対する甘えという感覚で演じました。今回の宏樹は“好きだから甘えちゃった”みたいなのが根底に残っていれば、家族が増えたときに、そこで元の宏樹に戻れるかな?と考えました」と役を構築していった。
演じる上では「声のトーンや感覚がわかるし、自分に近ければ近いほど楽だとは思います。やりにくいと言うと少し難しいのですが、これでいいのかな?と思いました。自分にはない感覚のセリフやどうしたらもっと美羽が傷つくかなと考えながらお芝居をすることは、なかなかない。そういう意味で言うと、やっぱり自分とかけ離れてる役が演じやすいということはないですね」と難しさも感じつつ、目の動かし方までさじ加減に注力した。
神崎夫妻については「繊細な夫婦だな~」と客観視する田中だが、宏樹に共感できる点は「まったくないです(笑)」ときっぱり。「北村(一輝)さんに(第一話のように)『圭、普段からああいう感じなんでしょ?』とイジられたりもします。でも、1番うれしかったのがすごく仲良しのプロデューサーから『普段と真逆!しかも1番嫌いなタイプの人だね!さすがでした』と連絡が来て…でしょう!?って(笑)」と得意げに笑った。憎たらしいほどのモラハラ夫から、可哀想だと思えるくらいの悲劇の夫を見事に熱演している。
■演じる側も展開にヤキモキ「もう冬月!お前、もう出てくるなよ!」
オファーを受けた際にも「しんどそうと思った」という田中。「ただ、なにか考えさせ、ハッとさせ、心が揺らぐことも実は大事。今はなんの気なしに見ていて“何も残らないけど楽しかった!”という作品もいっぱいある。でも僕はどちらかというと、チクッと心に刺さったり、フックがかかるような、難しかったと感じる作品の方が好きなんです。この作品は何を伝えているのだろう、この作品を見て何を感じ取ればいいんだろう。そういう感想を持つことが僕自身は好きなんですよね。だから自分もそういう作品に関わりたいと思っています。お芝居としても、すごくやりがいのあるお仕事だなと思っています」と力を込めた。
気になるのは今後の展開。「(視聴者には)宏樹の味方になってほしいとは別に思わないですが多分味方になってくれると思います。宏樹がかわいそうなので(笑)。第1話だと『なんだ、こいつ!』『冬月のところいっちゃえ!』みたいなになっても全然おかしくないですが…5話、6話ぐらいになると『冬月!もう出てくるなよ!』と少し思いました。冬月、もういいよ~。もう!なにしてんだよ!2人(美羽と宏樹)がここからもう家族としてやり直そうとしてるのに!って(笑)」と田中自身もはがゆく感じているそう。
実は、現時点で田中は結末を知らない。「夫婦にはいろんな形があるので、この世界のあの2人がどういう決着をつけるのか、離れるのか、一緒になるのか、じゃあ栞ちゃんはどうなるのか…は気になります。でも、プロデューサーから栞ちゃんが“かわいそうだ”という見られ方は絶対にさせたくないというのを聞いていたので、確かになと。そういう点でもどうなるのかなと楽しみにしています」と期待をかける。
「“過ち”という言い方はあんまり好きではないですが、その言い方が1番しっくり来ると思うので、あえてその言葉を使いますが、ひとつ先に進んでしまえば、もう過去のこと。それを過ちにするのか、経験にするのか、逆に正解にするのか、きっかけにするのか、この先を生きようとする人たちが決めること。美羽が冬月との子どもを作ったということを、それぞれがどういう風に“過去”にするのか。多分、それぞれが違うとは思いますが栞ちゃんがいる上で、この先を生きていくみんながどう決着をつけるのか。視聴者のみなさんにも、最終的に、前を向くことはやっぱりいいよね、と思ってもらえるドラマになればいいなとは思います」と願っていた。
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