第18回「平塚らいてう賞」受賞者を決定 -- 計8件の応募より4件(顕彰1件、奨励2件、特別1件)を選出 --
学校法人日本女子大学(東京都文京区、理事長:今市涼子)は、本日11月1日(金)、団体・研究者・学生の顕彰・奨励を目的とした第18回「平塚らいてう賞」の受賞者を決定いたしました。本年は、顕彰4件と奨励4件の応募があり、厳正な審査の結果、顕彰1件、奨励2件、特別1件を選出いたしました。
■受賞者
[顕彰]
国連NGO国内女性委員会
[奨励]
久保田茉莉 氏(日本体育大学 体育学部体育学科 特任助教)
聶 逸君 氏(日本女子大学 人間社会研究科社会福祉学専攻 博士後期課程)
[特別]
消化器外科女性医師の活躍を応援する会(AEGIS-Women)
■贈賞式
2024年12月21日(土)12:30から、日本女子大学目白キャンパス新泉山館にて行います。
(※詳細はPDF「第18回平塚らいてう賞贈賞式のご案内」をご参照ください)
■選考委員(五十音順)
池上清子 〔公益財団法人プラン・インターナショナル・ジャパン理事長〕
差波亜紀子 〔日本女子大学文学部史学科教授〕
高野晴代 〔一般社団法人日本女子大学教育文化振興桜楓会理事長、日本女子大学名誉教授〕
永井暁子 〔日本女子大学現代女性キャリア研究所所長〕
■第18回「平塚らいてう賞」選考委員発表コメント
第18回受賞者の選考にあたり、私どもは候補者の業績を広く、世界の女性のさらなる解放、問題の解決、平和問題や地域社会への公正な目配りと着実な行動の継続という観点から論議し、以下の業績に対して各々「顕彰」「奨励」「特別」に値するとの結論に達しました。ご業績の特色や褒賞に値する観点は下記の通りです。
[顕彰]
国連NGO国内女性委員会
研究・活動テーマ:「『国連とともに、女性・人権・平和のために』活動する」
受賞理由:
国連NGO国内女性委員会は、1957年、市川房枝さんが作られたNGOの1つで、国連総会日本政府代表団に「民間の女性」を推薦する委員会として知られている。また、事前に外務大臣にステートメントの内容について要望書を提出する意義深い活動も継続されてきた。この活動については選考委員全員が高く評価している。
同時に、選考委員会では、今後のさらなる活動を期待し、いくつかの意見が出た。まず、ステートメント作成や総会でのやり取りなどの具体的な活動が目に見えにくいことから、このプロセスを可視化してはどうか。さらに、若い女性の巻き込みを促進し、組織全体の活性化を図ってはどうか。女性の興味も多様化している今日、また、18歳の若い人に投票権が付与されたことなど、大きな社会変化にも対応してほしい。今後、活動のますますの発展と拡大を祈念している。
[奨励]
久保田茉莉 氏(日本体育大学 体育学部体育学科 特任助教)
研究・活動テーマ:「人間の尊厳とジェンダー平等に基づく新たな性売買規制の模索」
受賞理由:
久保田茉莉氏の研究は、個人の自由との齟齬を来さない性売買規制のあり方を探求するため、2016年に買春処罰法を成立させたフランスでの議論を分析するものである。性売買は売る側の圧倒的多数は女性、買う側は男性という構造を持つが、その背景として女性が貧困に陥りやすい環境や、男性の買春行為に比較的寛容な風潮があることが指摘されてきた。しかし近年、買春行為を性暴力ととらえ、買う側と業者とを罰し、売る側を保護する法律の制定が国際的潮流となっている。久保田氏は、日本がこの潮流に応じ、売る側のみに罰則を与える売春防止法にかわる性売買規制を構築するための学術的サポートを目指している。このうち規制強化反対論につながる当事者の自己決定権主張の扱いについて、久保田氏はすでに、フランスにおける軍隊への女性参入を肯定する議論の妥当性を論ずることを通じて、自己の尊厳を傷つけるような結果をもたらす自己決定は、人間の尊厳を重んじる立場から自己決定権の行使とは言えないということを明らかにしており、その成果を本研究に活かすことができると考えられる。このような性売買規制を人間の尊厳とジェンダー平等に基づいて模索しようとするという久保田氏の試みが、フランスの事例分析にとどまらず、日本の性売買規制をめぐる議論に示唆を与えるものとなることを期待したい。
[奨励]
聶 逸君 氏(日本女子大学 人間社会研究科社会福祉学専攻 博士後期課程)
研究・活動テーマ:「女性の就業行動は女性と子ども生活安定性への影響」
受賞理由:
聶逸君氏の研究は、日本における女性の就業パターンを分析し、特に女性の出産後の再就職、転職行動を調査し、その行動が、女性や子どもの生活の安定性にどのように影響するかを明らかにするものである。その点で、現テーマの文言では内容が分かりにくく「女性の就業行動による女性生活安定性への影響」といった表現にするとよいと思われる。
女性が、出産によって離職、転職などを余儀なくされ、本人のみならず子どもに不安定な立場を与える状態等を追跡したパネルデータをコーホート別に研究したものは、テーマに記される影響の分析にとどまるものではない。研究を通し、現状の問題点を明らかにした上で、労働市場政策において、子育て中の女性の安定した雇用環境に必要な支援を提供する社会的意義までを担うことを目指す姿勢は評価できる。それはまた男女共同参画の実現に必要なデータ分析ともなり得るであろう。その成果を上げるためには、より精度の高い調査、分析が必要であり、今後の研究に期待するところである。
[特別]
消化器外科女性医師の活躍を応援する会(AEGIS-Women)
研究・活動テーマ:「女性医師・研修医・医学生の消化器外科領域への参画を促進し、活躍の場を広げる」
受賞理由:
消化器外科女性医師の活躍を応援する会の活動は、出産や育児でキャリアを中断され医師としての夢を断念しがちな若手女性医に対して、ネットワーキングと手術技術習得の機会を提供するというものである。このような活動は、男女共同参画社会において重要な意味を持つものである。その意義について、会の主要なメンバーが行った調査・分析で明らかにしている点も評価できる。その調査・分析結果から、女性医師が男性医師に比べて、低難度の手術においてさえも明白に経験量に差があるということが明らかにされている。このような男女差を埋めるべく、啓蒙的な活動をするだけにとどまらず、託児所、キッズセミナーを併設しワークショップなどを開催している点が評価された。その成果はすぐには表れていないかもしれないが、このような活動を継続していくことにより、今後、女性医師の割合の上昇などが期待できるだろう。今後の期待を含め、特別に値すると選考委員全員の意見が一致した。
その他、詳細につきましては「平塚らいてう賞」ホームページをご覧ください。
https://www.jwu.ac.jp/st/grp/raiteu/
■平塚らいてうについて
平塚らいてうは、1906(明治39)年に日本女子大学校(現在の日本女子大学)を卒業し、卒業後に発刊した『青鞜』は、日本初の女性だけの手による女性のための文芸雑誌で、女性解放運動の原点となりました。創刊時の「元始、女性は実に太陽であった。」の書き出しは女性解放運動の宣言として知られています。思想家として平和を愛し、女性解放に一生を捧げた女性です。2021年に没後50年を迎えました。
【日本女子大学について】
日本女子大学は、日本初の組織的な女子高等教育機関として創立し、2021年に120周年を迎えました。私立女子大学唯一の理学部を有し、文理融合の教育環境をもつ女子総合大学です。幼稚園から大学院までの一貫教育、さらに卒業生以外にも門戸を開くリカレント教育など、誰もが生涯を通じて学び、成長し続ける社会を創るための機会を提供しています。多様で非連続に変化する社会において、新しい明日を共に創る人材を育てています。詳しくは、 https://www.jwu.ac.jp
をご覧ください。
▼本件に関する問い合わせ先
学校法人 日本女子大学 法人企画部 広報課
住所:〒112-8681 東京都文京区目白台2-8-1
TEL:03-5981-3163
メール: n-pr@atlas.jwu.ac.jp
【リリース発信元】 大学プレスセンター https://www.u-presscenter.jp/
プレスリリース詳細へ https://digitalpr.jp/r/98248
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