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ジオパークの絵本作り

「フロッタージュ」という技法を使って、石碑から絵本の素材を取る熊野高校サポーターズリーダー部の生徒(和歌山県上富田町生馬で)
「フロッタージュ」という技法を使って、石碑から絵本の素材を取る熊野高校サポーターズリーダー部の生徒(和歌山県上富田町生馬で)
 和歌山県上富田町の熊野高校の生徒が、串本町潮岬の南紀熊野ジオパークセンターが手がける民話の絵本作りに協力している。このほどあった1回目の取り組みでは、生徒が地質遺産について学び、絵本の素材集めに取り組んだ。

 南紀熊野ジオパークセンターは、紀南と奈良県の10市町村の「ジオサイト」を舞台に、各地の民話を方言で説明した絵本を作っている。今回、初めて取り組む西エリア(上富田町・白浜町)の題材として民話「彦五郎伝説」を選んだ。昨年度からジオパークの活動に関わりのある同校に制作への協力を依頼した。

 熊野高校Kumanoサポーターズリーダー部の「ジオパーク班」として活動している1年生2人が参加した。ジオパークセンターの職員から、地質地形遺産の魅力や保全の仕方について話を聞いたほか、上富田町生馬にある彦五郎堤防を訪れて、ジオパークガイドの会員から民話「彦五郎伝説」について学んだ。堤防の石碑がなぜ建てられたのか、昔の富田川の流路や水害の様子を交えて説明を聞き、絵本の挿絵となる素材集めに取り組んだ。

 素材集めは、実際の岩や植物などの上に紙を置き、クレヨンなどで凹凸をこすることで模様を写し取る「フロッタージュ」という技法を用いた。ペンの色やこする強さ、方向を工夫しながら、石碑の文字や切り株の表面、植えられている木の葉など、彦五郎堤防に実際にあるものの様子を写し取った。

 絵本は、今回取った素材を基に年内に原画を作り、物語と合わせて来年2月ごろに完成する予定。完成後は、エリア内の小学校や保育園、幼稚園に配布される。

 活動に参加したサポーターズリーダー部部長の蔦原未夢羽さんは「いつも見ている景色だからこそ、魅力を感じ取るのは難しい。今回の作業が魅力に気付く良い経験になった」と話し、副部長の平見聖さんは「ジオパークがどのような活動をしているのかよく分かった。自分たちの取った素材が、どんな絵本になるのかわくわくしている」と話した。

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