和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

変わる部活の「当たり前」 中学校、全員加入から自由選択

 「全員加入」が主流だった中学校の部活動が変化している。和歌山県田辺市では本年度から大半の学校が「自由選択制」を導入した。「全員加入」であっても個々の生徒の事情に合わせ、柔軟に対応するケースが増えている。

 「全員加入」については「やりたいことが決まっていればいいが、やりたくなくて無理やり参加する生徒もいる」「部活以外にやりたいことがあるのに時間が取れない」といった声が以前からあった。

 本年度から「自由選択制」を導入した田辺市内のある中学校では、昨年度から保護者に説明を重ね、移行準備を進めてきた。特に反対の声はなく、移行後も在校生の大半が所属クラブに残った。1年生は初めから所属しない生徒もいる。

 「全員加入」の学校でも、「社会活動部」などの名称で、部活動以外にやりたいことがある生徒、ない生徒の受け皿を設けているケースが多い。「部」としての活動はなく、各自の取り組みたいことができるため、「実質的に自由選択制」という。

 学習指導要領には「部活動は生徒の自主的、自発的な参加によって行われるもの」とある。高校生や大学生などでつくる「日本若者協議会」は2022年にスポーツ庁に「部活動の強制加入撤廃」を要望している。

 部活動を巡っては、少子化の影響で部員が集まらないことや、指導する教員の長時間労働といった課題も指摘されている。

 自由選択制のある中学校の教員は「スポーツや文化活動に打ち込んだり、同級生や異学年との交流を通じて人間関係を築いたりすることは、心身の育成にとって望ましい。時代の流れではあるが、できれば入部してほしい」と部活動の利点も強調した。

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