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森林への理解深める 上山路小6年生 紙すきのまとめ授業

奥野佳世さん(右)から話を聞き、森林の働きや製紙の歴史、森林破壊などについて理解を深めた=田辺市龍神村東で
奥野佳世さん(右)から話を聞き、森林の働きや製紙の歴史、森林破壊などについて理解を深めた=田辺市龍神村東で
 田辺市龍神村東の上山路小学校でこのほど、和紙をすいて卒業証書を手作りしている6年生5人を対象に紙すきについてのまとめの授業があった。児童は、龍神村の「山路紙(さんじがみ)」の歴史や森林の働き、環境問題などについて理解を深めた。

 同校では毎年、6年生が山路紙をすいて自分の卒業証書を手作りしている。戦後いったん途絶えた山路紙を復活させた地元の造形作家、奥野誠さんと妻の佳世さんに教わりながら、コウゾ(クワ科)の収穫や加工を体験、卒業証書用の紙すきにも挑戦した。

 まとめの授業では佳世さんが講師を務めた。佳世さんは、龍神村では古くから紙すきやコウゾの栽培・出荷が行われていたこと、和歌山の各地で「高野紙」や「保田紙」などが作られていることを説明。江戸時代に刊行され、手すき紙の作り方を記した国東治兵衛の「紙漉重宝記」の図絵や、コウゾやミツマタ、ガンピなど紙の原料となる植物も紹介した。

 また、森林の大切さやその働きについても触れ、「森林の働きがあることで私たちが生きていける。たくさんの恵みを与え、命を育み支えている」と強調。自然林と人工林の違いや、木の過剰な伐採などにより世界の森林面積が年々減少し、特に自然林が減っていることを伝えた。

 世界では紙の原料を栽培するプランテーションの開発のため、自然林が大規模に伐採された例があることにも言及し、「たくさんの紙が手軽に手に入る裏で、どんなことが起きているのかも知ってほしい」と呼びかけた。

 6年の寒川里菜さん(12)は「紙の原料になる木の種類がたくさんあることに驚いた。森林が減って、生き物が暮らせる場所がどんどん少なくなっていることについても勉強になった。木の種類や、自然のことをもっと調べてみたい」と話した。

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