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防災に女性の視点を 安心な避難所つくるには、危機に備えて・和歌山

女性の視点を生かした避難所運営
女性の視点を生かした避難所運営
 能登半島地震の被災地では、いまも多くの人々が避難生活を余儀なくされている。災害時に必要な支援は、男性と女性で異なる。一方で、防災の現場にはまだまだ女性が少ないのが現状だ。和歌山県田辺市防災まちづくり課の職員、西野茜さん(25)に、女性の視点を取り入れた避難所運営の大切さについて聞いた。

■全国6割「女性ゼロ」

 内閣府が全国の市区町村を対象に行った調査(2022年)によると、防災担当の部署に女性職員が「ゼロ」だと答えた自治体が全体の61・1%を占めた。そうした自治体では、生理用ナプキンや液体ミルク、紙おむつなどの備蓄が遅れる傾向が見られる。

 西野さんは2021年春、防災まちづくり課にとって初めての女性職員として配属された。

 当時、市の備蓄品整備計画には、生理用品が明確に記されていなかった。わずかに蓄えられてはいたが、「昼用ナプキン」しかなかったという。「ナプキンには昼用と夜用があること、1日に何度も取り換えなければならないことも、男性にはなかなか気付けないんだなと思った」と振り返る。

 その後、市は備蓄品に夜用ナプキンを追加。昨年9月に整備計画を改訂した際には、生理用品も新たに品目として明記した。

 ほかにも、着替えや授乳の時にプライバシーを確保できるかなど「考えなければいけないことはたくさんある」という。

■男女協力して解決を

 東日本大震災など過去の災害の資料を調べていると、「男性がたくさんいる中で支援物資の生理用品を受け取りづらい」といった声があった。また、「避難所で、夜になると男の人が毛布に入ってきた。周囲は見て見ぬふり」「DVで離婚調停中の夫が探しに来た」など、女性が性被害や暴力にさらされる事例もあった。

 「『男性がリーダーで、女性は食事作りをする』というような性別役割分担の意識が、災害時には表面化してしまう。女性が意思決定の場にいること、自主防災組織の活動にももっと参加して声を上げていくことが必要だと、改めて感じた」と話す。

 ここ最近は、地域住民を対象にした防災講座の場でも、女性の視点を取り入れた避難所運営の大切さについて触れるようにしている。

 「『女性がどれだけ大変か知ってほしい』と訴えるのではなく、『災害時にも男女が一緒に協力しながら問題を解決していこう』と伝えていきたい」と話している。



 内閣府は「男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドライン」を作成し、ホームページで公表している。

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