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【動画】打ち上げ4度目の延期発表 和歌山県串本町の民間ロケット、今後の時期は未定

 和歌山県串本町田原の民間小型ロケット発射場「スペースポート紀伊」を運営する企業「スペースワン」(東京都)の遠藤守取締役(72)は20日、「本年夏ごろを目指す」と説明していた初号機の発射時期について「もうちょっと時間を頂きたい」と延期を発表した。今後の発射時期は未定で「打ち上げから2カ月以上前までに報告したい」と述べるにとどめた。他のロケット事業の失敗も影響しているといい、延期は今回で4度目となる。


 この日、同町サンゴ台のホテルで開かれた「宇宙シンポジウムin串本」(県主催)で、遠藤取締役が説明。「国内外の新型ロケットの開発遅延や打ち上げ失敗がたくさん起きている。われわれも新しいロケットを一から造ることは当初想定した以上に困難が伴うと、ひしひしと実感している。最初の取り組みは確実な打ち上げ成功を目指して、現在慎重に作業を進めている。残念ながら従来申し上げていたこの夏でのロケット打ち上げは非常に難しい。もうちょっと時間を頂きたい」と述べた。

 その上で初号機発射時期について「現時点で申し上げられる状態ではない。開発の進捗(しんちょく)と国の認可を受ける手続きを踏まえて打ち上げ時期を決める必要がある。遅くとも打ち上げから2カ月以上前になったら、まず(スペースポート紀伊周辺地域)協議会の場で報告をして、打ち上げの準備作業を進めていきたい。引き続き温かく見守っていただき、ご支援を」と理解を求めた。

■「産みの苦しみ」 知事や地元首長が理解

 同社から発射時期を延期する方針が示されたことについて、岸本周平知事は閉会のあいさつで「初号機の打ち上げが成功しないと、ビジネスとしては大変厳しくなる。宇宙航空研究開発機構(JAXA)をはじめ失敗が続いており、ここで必ず成功していただかないといけないという思いがあるので、県としてはいくらでも待つ。温かく見守らせていただきたい」とエールを送った。

 串本町の田嶋勝正町長は取材に対し「初号機は将来のビジネスに大きく影響するものであり、慎重にならざるを得ないと感じる。残念ではあるが、これは産みの苦しみであり、産んだ時には本当に素晴らしいものが得られると思う。引き続き全面的にバックアップしていきたい」、那智勝浦町の堀順一郎町長も「これで4回目の延期なので非常に残念だが、発射に関わる環境は最近では失敗続きなので、慎重にならざるを得ないと理解している。一日も早く安全にロケット発射できる環境を整えていただけることを待ちたい」と理解を示した。

 初号機の発射時期について、同社は当初2021年度中としていたが、21年12月に開かれたスペースポート紀伊周辺地域協議会の臨時総会で22年末ごろを目指すと延期を発表。22年10月にあった協議会の臨時総会では再び延期し、今年2月末ごろを目指すとしていたが、今年1月に開かれた臨時総会で「本年夏ごろを目指す」との方針を説明していた。


打ち上げ延期を説明するスペースワンの遠藤守取締役(20日、和歌山県串本町サンゴ台で)
打ち上げ延期を説明するスペースワンの遠藤守取締役(20日、和歌山県串本町サンゴ台で)
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