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大工職人らが仮設訓練/田辺木造住宅を組み立て/災害時に備え

金物工法で仮設住宅を組み立てる訓練参加者(20日、田辺市新庄町で)
金物工法で仮設住宅を組み立てる訓練参加者(20日、田辺市新庄町で)
 県木造住宅生産体制強化推進協議会(榎本長治会長)が20日、田辺市新庄町で木造仮設住宅の組み立て訓練をした。県内での訓練は初めて。県、御坊・日高以南の工務店や森林組合の関係者、建築士ら大工職人約40人を含む72人が参加。真剣な表情で訓練に臨み、災害時に備えた。


 協議会は建築士会や建設労働組合、森林組合連合会など県内の7団体で構成し、県産材を使った木造住宅の普及が目的。昨年3月に全国木造建設事業協会、日本木造住宅産業協会近畿支部との3団体で県応急木造仮設住宅建設協議会をつくり、同5月、災害時に仮設住宅建設を目的とした協定を県と締結。プレハブ住宅に加え木造住宅の供給が可能となった。

 訓練は国交省の補助を得て実施。新庄町内の倉庫内で、建築士会が考案した仮設住宅を午前中の1時間余りで組み立て、午後には解体した。

 木造仮設住宅は単身者、夫婦用、子どものいる家庭用の3タイプがあり、いずれも2戸分を1戸にし、復興住宅としても活用できるという。この日は、夫婦用の住宅の軸組を、組み立てが容易な金物工法で組み立てた。

 金物工法は接合金物を使う工法で、木工加工技術があまり必要でない。被災時は被災住宅の補修に多くの技術者が必要なため、大工職以外の人の協力も得て短期間に多くの仮設住宅を供給できるようにする必要がある。訓練では内装工の人たちも参加した。

 主催者側は訓練状況を記録し、今後の建設関係者の育成や組み立て手順の検討、施工体制の整備などに活用する。同様の訓練は、12月に和歌山市でも実施する。

 榎本会長は「今後、いざという場合にこんな住宅ができるということを広くアピールしていければ」と話した。

 顧問として参加した工学院大学名誉教授の宮澤健二さんは「木造は接合部が大事。木材がプレカットされ、金物があって、その通りに組めるということが大事」と参加者に呼び掛けた。

 木造の仮設住宅は木の温かみや香りが安らぎや癒やしを与え、東日本大震災や熊本地震の被災地でも評判が良かったが、非木造に比べ2割ほどコストが高いとされる。

 県建築士会によると、この日の仮設住宅だと大工職2人と手伝い2~4人で3~4週間で完成、慣れれば計4人でできる。プレハブ住宅は3週間で完成するという。

 県の想定では南海トラフ巨大地震発生時、避難生活で最大5万7600戸の住宅が必要。民間賃貸・公営住宅などで不足する2万~3万戸の2割程度を木造仮設住宅で賄いたいとしている。

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