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梅の収穫に助っ人来たる 県外の若者ら、全国一の産地みなべや周辺で援農

手伝いに訪れ、農家にあいさつする草薙陽太さん(右から2人目)と桐内茉那さん(右)=1日、和歌山県みなべ町東岩代で
手伝いに訪れ、農家にあいさつする草薙陽太さん(右から2人目)と桐内茉那さん(右)=1日、和歌山県みなべ町東岩代で
 梅の収穫期を迎え、日本一の梅産地である和歌山県のみなべ町や周辺市町に県外から多くの若者らが訪れ、重労働である収穫作業を手伝っている。地元での人手確保が難しいため、受け入れる農家は頼もしい助っ人に喜んでいる。


 農家と援農の若者らとの橋渡しをするのは、同町清川の山下丈太さん(41)が経営する「アグリナジカン」。収穫の手伝いはかつて、農家が知人や親類に頼むことが多かったが、高齢化などにより引き受けてもらえないようになり、ハローワークや新聞広告で探すようになった。それでも確保が難しくなってきたことから、課題解消にと2020年5月から始めた。

 同年には農家3戸に7人、21年には15戸に25人、22年には28戸に53人を紹介した。今季は1日現在、28戸に59人を紹介している。援農者が農家と直接連絡を取って手伝いにくるケースもあり、実際の数は農家も援農者もかなり多くなっているとみられる。

 アグリナジカンを通じての援農者は全国各地から来ており、リピーターや経験者から紹介されて来る人もいる。一方、受け入れ農家はみなべ町内が多いが、田辺市や上富田町、印南町、日高川町もある。始めたころは清川や岩代地域だけだったが、口コミで広がっている。

 山下さんによると、コロナ禍の影響を受けていた観光産業が回復し、人手が必要となっていることから農業の現場での人手確保が難しくなっているが、みなべ町では作業が梅雨時期であったり、これまでのつながりで再度来てくれ、紹介もしてくれたりすることから援農を希望する人は増えているという。

 しかし、援農期間中に泊まる場所が足りないのが課題で、今季は1日現在、8戸の農家に紹介できないでいる。

 山下さんは「人手不足が続くので、まだまだ来てほしいが、稼いで、楽しんで帰ってもらえるように住環境をはじめ、働きやすさや待遇を整える必要がある。援農者、農家の両方に喜んでもらえるようにしたい」と話す。

■農家も援農者も喜ぶ

 みなべ町東岩代の松川知憲さん(38)は今季、4人に手伝いを求めている。4年前に知り合いを通じて依頼したことがあり、コロナ禍で中断したが、昨年から再開した。「昨年に続き今年も豊作なので人手不足になる。体力がいる作業なので、若者が来てくれると安心。とても助かる」と話す。

 援農者で、2年前に清川で手伝ったことがあるという宮城県出身の草薙陽太さん(25)は「みなべが気に入り、今年もやってきた。畑は急斜面にあり、作業は大変だが、頑張りたい。滞在中、梅酒作りにも挑戦したい」。みなべで手伝うのは初めてという千葉県出身の桐内茉那さん(25)も楽しみだという。2人とも約1カ月、松川さん方の空き家で寝泊まりし、手伝う予定。

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