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今季も完熟梅販売 おいしさでアピール、和歌山県みなべ町の農家ら

熟して自然落下した南高梅の実。柔らかく甘い香りがする(昨年6月、和歌山県みなべ町で)
熟して自然落下した南高梅の実。柔らかく甘い香りがする(昨年6月、和歌山県みなべ町で)
 おいしい梅を味わってもらおうと、和歌山県みなべ町の梅農家や梅加工業者が今季も、完熟した梅の実の販売をする。完熟した梅は日持ちがあまりしないため、収穫してすぐに消費者に届ける必要がある。インターネットを活用して販売しており、農家らは「おいしい梅で産地をアピールしたい」と口をそろえる。

 日本一の梅の産地、みなべ町で数多く栽培される品種「南高梅」は、大粒で果肉が多くて柔らかいのが特徴。とりわけ梅干しは、最大限においしく味わうために、熟し切って樹木から自然落下した実を使うのがよいという。梅酒や梅シロップも「まろやかに仕上がる」と人気がある。

 しかし、実を購入し家庭で加工する一般消費者にとって、熟し切った実を手に入れるのは意外に困難。日持ちがあまりしないことから、熟し切っていないうちに樹木からもいで収穫した実を販売していることが多いからだ。

 この消費者の要望にインターネットを活用し対応している。

 町内の若手農家でつくる「梅ボーイズ」(山本将志郎代表)は活動を始めた3年前から、完熟した落ち梅を販売している。事前に予約を受け付け、収穫期に発送しており、今季は10日から数量限定で受け付け、6月12~16日に発送する予定だという。

 同町西本庄の横山食品(横山誉士社長)は、樹木である程度熟した実は販売していたが、要望を受けて8年ほど前から、完熟した落ち梅も販売するようになった。今季も3月下旬から数量限定で予約を受け付けており、収穫期に発送する。

 完熟は2日ほどしか持たないことから、収穫してすぐに届けなければいけない上、傷や虫の被害を一個ずつ確認するなど手間がかかるというが、山本代表(29)は「完熟なら生で食べることができる。甘くておいしく、自宅で梅干しや梅酒をつくるのにぜひ使ってもらいたい」とアピールする。横山社長(44)も「いろいろな要望に対応したいと思って始めた。好評で、注文は年々増えてきている」と話す。

 固定客に販売しているという農家もいる。同町晩稲の農家は「完熟梅の要望はある。しかし作業に手間がかかるため人手不足で対応できなく、販売は固定客だけにしている」という。別の農家も「梅が売れなくなっているので、買ってもらいたいのはやまやまだが、今は固定客にしか対応できない。人手不足が解消すれば広く販売したい」と話している。

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