緑の息吹未来へつなぐ 熊野高校創立100周年
上富田町朝来の熊野高校が今年創立100周年を迎えた。農業、林業を専門的に学ぶ学校として始まり、現在はその伝統を受け継ぎながら、総合学科、看護科、専攻科で約600人が学んでいる。
■「熊林」精神を継承
熊野高は、1923年に上富田町岩田で西牟婁農業学校として創立した。その後、現在地に校舎が移され、26年に熊野林業学校、45年に熊野農林学校と改称。48年に学制改革で熊野高が発足し、普通課程、林業課程、農業課程が設置された。
特に、熊野林業学校の時代は通称「熊林(くまりん)」と呼ばれ、全国にその名が知られていた。「額に汗して働くことをいとわない人間性を滋養する」という教育目標の下、学校演習林での実習などが取り入れられた。
現在の熊野高の教育目標には「社会に貢献できるたくましくて思いやりのある人間を育成する」という一節があり、熊林の「勤労」「地域貢献」の精神が脈々と受け継がれている。
正面玄関前では、校木のイブキ(ヒノキ科の常緑樹)が、鮮やかな緑色の葉を茂らせている。イブキ=息吹は、若者の青春を意味し、芽生え、成長を願うことに通じることから校木に選ばれた。校章のデザインにも採用されている。
校内にはイブキのほか、モミノキ、サルスベリなど約90種類の木が植えられている。以前は卒業記念として植樹をする伝統があり、歴代の卒業生たちの思いがこもった木々が、学校を見守っている。
緑色は熊野高の「スクールカラー」。緑豊かで、林業や農業の歴史を持つ熊野高を象徴している。
■地域と共に
現在の熊野高では約100種類の選択科目があり、農業、林業はもちろん、さまざまな分野で、自分の進路の希望や好みに合わせて学びを深めることができる。2008年には南紀高校から看護科を移設。地域医療を支える人材の育成にも貢献している。
クラブ活動の「Kumanoサポーターズリーダー部」による高齢者宅の訪問事業といったボランティア活動などを通して、地域に根差した学校づくりを進めている。
これまでに2万人余りが卒業した。著名人には歌手の坂本冬美さん、作家の宇江敏勝さんらがいる。
■校歌作詞は佐藤春夫
校歌は1951年に制定された。作詞は新宮市出身の文豪・佐藤春夫、作曲は「椰子(やし)の実」などで知られる大中寅二という高名な人物2人が手がけた。当時勤務していた国語科の女性教員のつてで、佐藤と大中への依頼が実現したという。歌詞の中に校名が登場しないのが特徴的と言える。
■多彩な100周年事業
同窓会や学校などでつくる「創立百周年記念事業実行委員会」が中心となって、さまざまな取り組みを進めている。
18日には、学校近くの上富田文化会館で関係者約100人を招いた記念式典を開く。10月下旬には学校グラウンドで、全校生徒と同窓会の関係者ら約600人による人文字(約30×60メートル)を制作。式典では、その様子をまとめた映像作品を上映することにしている。
さらに、正面玄関前には校歌碑(縦約1・3メートル、横約2メートル)、生徒ホールの外壁には壁画(縦約2メートル、横約4メートル)を設置した。11日に除幕式があり、実行委の関係者や生徒らが完成を喜んだ。
壁画や人文字は、大阪市内でデザイン会社を経営している、同校出身の竹中ひかりさん(24)が企画し、制作に協力した。壁画は部活動などに熱心に取り組む「熊高生の青春」を表現。描かれている人物は、実際の現3年生がモデルになっている。
◇
100周年記念式典の会場には、一般の人は入場できない。式典の様子は当日午前9時から、動画投稿サイト「ユーチューブ」でライブ配信する(https://youtu.be/ed_Ep_mQM4M)。
■主な歴史
1923年 3月 県立西牟婁農業学校設立認可
1926年 2月 熊野林業学校と改称
1945年 3月 熊野農林学校と改称
1948年 4月 学制改革により熊野高校発足。普通課程、林業課程、農業課程を設置
1953年 4月 家庭課程を新設
1963年 4月 普通科、林業科、農業科、家政科に学科変更
1966年 4月 林産製造科を新設。農業科を園芸科に、家政科を生活科に変更
1980年 4月 林産製造科を林業科に学科変更
1992年 4月 林業科を森林科学科に改編
1997年 4月 普通科にコース制を設置
2000年 7月 熊高教育協議会が発足
2001年 4月 生活科の募集停止
2004年 4月 普通科、森林科学科、園芸科の募集停止。総合学科に改編
2008年 4月 南紀高校から看護科を移設
■「熊林」精神を継承
熊野高は、1923年に上富田町岩田で西牟婁農業学校として創立した。その後、現在地に校舎が移され、26年に熊野林業学校、45年に熊野農林学校と改称。48年に学制改革で熊野高が発足し、普通課程、林業課程、農業課程が設置された。
特に、熊野林業学校の時代は通称「熊林(くまりん)」と呼ばれ、全国にその名が知られていた。「額に汗して働くことをいとわない人間性を滋養する」という教育目標の下、学校演習林での実習などが取り入れられた。
現在の熊野高の教育目標には「社会に貢献できるたくましくて思いやりのある人間を育成する」という一節があり、熊林の「勤労」「地域貢献」の精神が脈々と受け継がれている。
正面玄関前では、校木のイブキ(ヒノキ科の常緑樹)が、鮮やかな緑色の葉を茂らせている。イブキ=息吹は、若者の青春を意味し、芽生え、成長を願うことに通じることから校木に選ばれた。校章のデザインにも採用されている。
校内にはイブキのほか、モミノキ、サルスベリなど約90種類の木が植えられている。以前は卒業記念として植樹をする伝統があり、歴代の卒業生たちの思いがこもった木々が、学校を見守っている。
緑色は熊野高の「スクールカラー」。緑豊かで、林業や農業の歴史を持つ熊野高を象徴している。
■地域と共に
現在の熊野高では約100種類の選択科目があり、農業、林業はもちろん、さまざまな分野で、自分の進路の希望や好みに合わせて学びを深めることができる。2008年には南紀高校から看護科を移設。地域医療を支える人材の育成にも貢献している。
クラブ活動の「Kumanoサポーターズリーダー部」による高齢者宅の訪問事業といったボランティア活動などを通して、地域に根差した学校づくりを進めている。
これまでに2万人余りが卒業した。著名人には歌手の坂本冬美さん、作家の宇江敏勝さんらがいる。
■校歌作詞は佐藤春夫
校歌は1951年に制定された。作詞は新宮市出身の文豪・佐藤春夫、作曲は「椰子(やし)の実」などで知られる大中寅二という高名な人物2人が手がけた。当時勤務していた国語科の女性教員のつてで、佐藤と大中への依頼が実現したという。歌詞の中に校名が登場しないのが特徴的と言える。
■多彩な100周年事業
同窓会や学校などでつくる「創立百周年記念事業実行委員会」が中心となって、さまざまな取り組みを進めている。
18日には、学校近くの上富田文化会館で関係者約100人を招いた記念式典を開く。10月下旬には学校グラウンドで、全校生徒と同窓会の関係者ら約600人による人文字(約30×60メートル)を制作。式典では、その様子をまとめた映像作品を上映することにしている。
さらに、正面玄関前には校歌碑(縦約1・3メートル、横約2メートル)、生徒ホールの外壁には壁画(縦約2メートル、横約4メートル)を設置した。11日に除幕式があり、実行委の関係者や生徒らが完成を喜んだ。
壁画や人文字は、大阪市内でデザイン会社を経営している、同校出身の竹中ひかりさん(24)が企画し、制作に協力した。壁画は部活動などに熱心に取り組む「熊高生の青春」を表現。描かれている人物は、実際の現3年生がモデルになっている。
◇
100周年記念式典の会場には、一般の人は入場できない。式典の様子は当日午前9時から、動画投稿サイト「ユーチューブ」でライブ配信する(https://youtu.be/ed_Ep_mQM4M)。
■主な歴史
1923年 3月 県立西牟婁農業学校設立認可
1926年 2月 熊野林業学校と改称
1945年 3月 熊野農林学校と改称
1948年 4月 学制改革により熊野高校発足。普通課程、林業課程、農業課程を設置
1953年 4月 家庭課程を新設
1963年 4月 普通科、林業科、農業科、家政科に学科変更
1966年 4月 林産製造科を新設。農業科を園芸科に、家政科を生活科に変更
1980年 4月 林産製造科を林業科に学科変更
1992年 4月 林業科を森林科学科に改編
1997年 4月 普通科にコース制を設置
2000年 7月 熊高教育協議会が発足
2001年 4月 生活科の募集停止
2004年 4月 普通科、森林科学科、園芸科の募集停止。総合学科に改編
2008年 4月 南紀高校から看護科を移設