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暮らしの安全は 参院選2022(上)/原材料高騰/身近な店 苦しい経営

原材料価格の高騰に頭を悩ませながら、店頭にパンを並べる店主の泉本宜映さん(田辺市朝日ケ丘で)
原材料価格の高騰に頭を悩ませながら、店頭にパンを並べる店主の泉本宜映さん(田辺市朝日ケ丘で)
「暮らしの安全は 参院選2022」題字
「暮らしの安全は 参院選2022」題字
 長期化する新型コロナウイルス禍、原油高・物価高、少子高齢化など、暮らしの安全を揺るがす課題が山積している。人々は政治に何を求めているのか。課題の現場を取材した。


 原材料費の高騰で、食料品や飲料などの値上げが相次いでいる。中でも、パンや麺類に使う業務用小麦は、過去2番目の高値を記録。家計の負担増にもつながっている。

 日本の小麦の需要は8~9割を輸入に頼る。外国産は政府が計画的に輸入し、製粉業者などに売り渡す仕組みになっている。その「政府売り渡し価格」は、直近6カ月間の買い付け価格などを基に半年ごとに見直されるが、今春3期連続で引き上げられた。今秋も引き上げの見通しだ。

 50種類以上の菓子パンを100円(税込み108円)均一で販売していた田辺市朝日ケ丘のパン店「赤れんが」は6月1日から、130円(税込み)に値上げした。

 店主の泉本宜映さん(55)は「ずっと100円で頑張ってきたが、もう限界。これまでも小麦の価格が上がったことはあったが、上下動を繰り返し、ここまで大幅には上がらなかった。植物油など他の原材料も高騰が止まらない」と苦渋の選択だった。

 値上げ後、客は3割ほど減少した。「ちょっとくらい高くなるより、店がなくなる方が困る」と励ましてくれる常連客もいる。しかし「100円だと思って来たのに」と店を離れてしまう客もいる。

 泉本さんは「努力だけではどうにもできない。政治的に有効な支援策も示されていない」とため息をつく。

 田辺市を拠点にスーパーマーケット4店を展開する「たかす」の鷹巣守社長(47)は「メーカーの値上げは毎月のようにあり、仕入れコストは上昇している。しかし、全ての商品が価格転嫁できるわけではない。電気代や容器代も値上げしており、利益幅は減る一方。競合他社の動きも見ながらギリギリの線で決めている」と明かす。

 「かつて経験のない物価高。一番怖いのは、どこまで耐えればいいのか先行きが見通せないこと。値上げが進めば消費者の財布のひもが締まる。メーカーも小売りも、守りの姿勢が強まる。経済が悪循環に陥る」と心配する。

 和歌山社会経済研究所の藤本迪也研究員は「ウクライナ情勢や円安の影響もあり、物価高の短期的な解消は難しい。商品やサービスの値上げは、さらに進むと考えている」と話している。

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