和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

ワーケーションで梅収穫 和歌山県みなべで首都圏の会社員ら

梅を収穫する都市部からのワーケーション企画の参加者(和歌山県みなべ町山内で)
梅を収穫する都市部からのワーケーション企画の参加者(和歌山県みなべ町山内で)
国民宿舎紀州路みなべの「ワークスペース」を利用する参加者(和歌山県みなべ町埴田で)
国民宿舎紀州路みなべの「ワークスペース」を利用する参加者(和歌山県みなべ町埴田で)
 世界農業遺産「みなべ・田辺の梅システム」に認定されている梅産地、和歌山県みなべ町で今月に入り、首都圏の人らが梅の収穫を手伝ったり、町内で本業の仕事をしたりする「梅収穫ワーケーション」(仕事と休暇の組み合わせ)の新たな取り組みが始まった。


 消費材メーカーの「ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス」(東京)の島田由香人事総務本部長(48)=東京都=が主宰する、働く場所や時間などを選ばない新しい働き方に共感する人たちでつくるグループ「Team WAA!(チーム・ワー)」が主催した。県、町、農林水産省が協力している。

 グループのメンバーや呼びかけに応じた会社員や経営者など125人が順次、参加する。町内の宿泊施設などに滞在しながら、町内の農家10軒で収穫作業を手伝う。期間は人それぞれで、2週間や1カ月間滞在し、収穫作業と仕事をする人もいる。宿泊、交通費などは自己負担で報酬などはない。

 島田さんは、飛行機で白浜町に来てワーケーションをすることが多く、今回、みなべ町の農家や加工業者と知り合う中で、ワーケーションと世界農業遺産の両方を盛り上げられたらと、この取り組みを企画した。今回は30日までだが、来年以降も継続したい考えという。

■充実した日々 参加者から好評

 4日には、参加者や県と町幹部による意見交換会があった。県の長尾尚佳企画部長(58)は「和歌山の自然豊かな中でリフレッシュして、仕事の生産性が上がればうれしいし、梅収穫の人手不足の助け、和歌山県や農業遺産のことを知ってもらうことになれば大変ありがたい」と歓迎した。

 横浜市の会社員、山口敦司さん(61)は「梅の実の大きさや重みを感じながらの収穫で新鮮。収穫作業と本業の仕事を交互にするのは良い」と充実した表情だった。

 他の参加者からも「収穫が梅の製品になる第一歩と思うとわくわくし、大切に扱う意識になる。脚立に乗ることも普段はないし、普段できないことや、やってみないと分からないことができて、いろいろな気付きがある」「体験したことを発信し、ワーケーションの良さを広めたい」などの声があった。

 一方で「自己負担でも参加する価値はあるが、交通や宿泊の補助があれば参加しやすくなる」などの要望もあった。

■「理解深め合えれば」

 町は今春、ワーケーション誘致のため、町の施設「国民宿舎紀州路みなべ」に、仕事ができる「ワークスペース」を整備するなどもしており、同施設を利用して参加する人もいるという。

 受け入れ農家の一人、同町西岩代の中早大輔さん(40)は「食の重要性について、私たち農業者と消費者はもっと理解を深め合わなければいけないと思う。また、地元にいると気付きにくいことも、外からの視点で気付かされることもある。関係人口を広げ、そうしたきっかけになっていけば」と期待した。

 島田さんは「見渡す限り緑という都会にはない世界の中で収穫作業に集中することは脳にも良い影響があるし、心地いい。1次産業の大切さも感じており、少しでも役に立つことができれば。地域を広げるなどしながら続けていきたい」と話した。

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