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資金計画の「確実性」問う声も 和歌山県議会IR特別委

和歌山県議会IR対策特別委員会で、オンラインで県議の質問に答えるIR事業者のマリオ・ホー代表取締役(17日、和歌山県庁で)
和歌山県議会IR対策特別委員会で、オンラインで県議の質問に答えるIR事業者のマリオ・ホー代表取締役(17日、和歌山県庁で)
 和歌山県が和歌山市の「和歌山マリーナシティ」への誘致を目指す「カジノを含む統合型リゾート施設」(IR)の区域整備計画案について議論する県議会「IR対策特別委員会」が17日、県庁であった。IR事業者が、これまで「不透明」と指摘されていた資金計画について新たな出資株主などを公表。県議からは評価する声があった一方、計画の確実性を問う意見などが出た。


 県と事業者が共同で作成した計画案について、過去2回の特別委では資金計画などに不透明な部分が多いという指摘が相次いだ。県は住民説明会や公聴会、パブリックコメント(県民からの意見募集)を受け、一部修正した計画案を今回の特別委に示した。

 特別委には初めて、IR事業者のクレアベストニームベンチャーズ(東京都)のマリオ・ホー代表取締役が中国からオンラインで出席。仁坂吉伸知事も出席し冒頭「(計画案は)ずいぶん確実性が高まり、これで(国の認可は)いけると思っている」とあいさつした。

 初期投資とする約4700億円のうち30%に当たる約1450億円の出資者は、これまで中核株主3社のほか、少数株主として「西松建設」(東京都)だけが示されていた。

 今回、これに加え少数株主に米国の金融サービス会社「カンター フィッツジェラルド」や韓国最大の複合企業「ハンファ インベストメント&セキュリティズ」など海外8社に参加の意向があることも明らかにした。

 残り70%の約3250億円は、スイスの金融大手「クレディ・スイス」が取りまとめる金融機関から借り入れする。借入先として海外4機関の名前を挙げたが、県議からは「借り入れできる確実性を高めるべきだ」「国内や地元の銀行も入れてほしい」などの意見があった。

 一方、IR事業期間は40年だが、途中で県が事業をやめると判断した場合の対応について聞かれたホー氏は「政治的なリスクを理解した上で前に進むと判断した。運営の権利が取り上げられても県に保証を求めることはしない。資金調達や資材の高騰などでの追加コストについても県に請求することはない」と明言した。

■国の目標値が根拠 来場者数の想定

 計画案では、2030年度のIRへの来場者数を650万人(うち外国人110万人)と想定。コロナ禍からの回復傾向を見込んだ外国人旅行者の国の目標値「6千万人」を根拠にしていることについて「(コロナ禍前の過去最多は)三千数百万人。それに増した数字で予測するのは、あまりに過大だ」といった批判があった。このほか「経済効果をどう計算したのかを公表できないか。そうしないと検証できない」「大阪にIRができた場合、両立できるのか」などの指摘もあった。

 計画案はこの後、和歌山市議会などの同意を得た上で、4月20日ごろまでに県議会の議決を受け、期限の28日までに国に計画を提出したいとしている。

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