田辺市から「農山漁村の宝」2例 日向屋と那須誠さん
農山漁村の力を活用し、地域活性化や所得向上に取り組んでいる優良事例を発信する「ディスカバー農山漁村の宝」(農林水産省と内閣官房主催)に、和歌山県田辺市上芳養の農業会社「日向屋(ひなたや)」と、同市下三栖の梅農家、那須誠さん(48)が選ばれた。全国の応募総数651件の中から、優良事例として34地区と4個人が選ばれた。那須さんは、特に優良な事例として「ブランディング確立特別賞」を受賞した。
■農業と鳥獣害対策/地域の宝に
日向屋の代表取締役を務める岡本和宜さん(42)はミカンや梅を栽培する農家。地域で増える鳥獣害に危機感を抱き、2017年、農家仲間と共に捕獲チームを立ち上げた。
捕獲した獣を活用するため、野生鳥獣肉(ジビエ)の処理施設を誘致。その後、地域では狩猟免許を取り、鳥獣害対策に携わる人が増え、鳥獣害が以前に比べかなり減ってきたという。
また、鳥獣害の増加要因には担い手の減少や耕作放棄地の増加があると考え、剪定(せんてい)や草刈りといった農作業の受託や、農産加工品の販売を柱にした鳥獣害対策と耕作放棄地解消を組み合わせた地域活性化の事業をしている。
耕作放棄地を借りて再生し、農地を見つけるのが難しい新規就農者に提供する取り組みもしている。
現在メンバーは社員、パートを含め12人。農作業受託件数は4件(17年度)から20件(20年度)に増加、有害駆除捕獲実績は140匹(17年度)から78匹(20年度)まで減り、農作物被害も減少している。
岡本さんは「今回の受賞は、協力や支援してくれる地域の皆さんのおかげ。今後も、次世代の農業を考え、地域づくりをしていかなければいけない」と話す。
■紫宝梅「ミスなでしこ」/ブランディング
梅の品種「ミスなでしこ」は、那須さんの父が南高梅とパープルクィーン(小梅)の類似種を交配させて2005年に誕生。10年に商標登録した。果皮が紫色で加工するときれいな色が出る。那須さんは、この新品種が後世に残るようにと、ブランド化に取り組んだ。
当初はイベントなどに出店して、ビネガーやジャムなど加工品を販売するなどPRしてきたが、近年は、実そのもののアピールに力を入れている。地域の道路沿いや倉庫に看板を設置したり、軽自動車のほろもラッピングして移動看板として活用したりしているほか、会員制交流サイト(SNS)を通じて情報を発信している。
20年には「紫宝梅ミスなでしこ」という商標登録を取って、自身の農園で生産、販売するものをブランドとして使っている。
現在、約60アールで栽培しており、今年は約3・3トンの生産量があった。地元市場や個人によるネット販売をしており、市場を通じて香港でも販売している。
栽培面でも実の色づきが良くなるよう、剪定や施肥に気を使い、一定の着色があるもの以外は出荷しないなど、ブランド維持に努めている。
那須さんは「個人でできる範囲で、いかに発信していくか考えている。今回の評価を受けて、これまで取り組んできたことに自信を持てる。今後も、安定した量が提供できるよう頑張らないといけない」と話している。
■農業と鳥獣害対策/地域の宝に
日向屋の代表取締役を務める岡本和宜さん(42)はミカンや梅を栽培する農家。地域で増える鳥獣害に危機感を抱き、2017年、農家仲間と共に捕獲チームを立ち上げた。
捕獲した獣を活用するため、野生鳥獣肉(ジビエ)の処理施設を誘致。その後、地域では狩猟免許を取り、鳥獣害対策に携わる人が増え、鳥獣害が以前に比べかなり減ってきたという。
また、鳥獣害の増加要因には担い手の減少や耕作放棄地の増加があると考え、剪定(せんてい)や草刈りといった農作業の受託や、農産加工品の販売を柱にした鳥獣害対策と耕作放棄地解消を組み合わせた地域活性化の事業をしている。
耕作放棄地を借りて再生し、農地を見つけるのが難しい新規就農者に提供する取り組みもしている。
現在メンバーは社員、パートを含め12人。農作業受託件数は4件(17年度)から20件(20年度)に増加、有害駆除捕獲実績は140匹(17年度)から78匹(20年度)まで減り、農作物被害も減少している。
岡本さんは「今回の受賞は、協力や支援してくれる地域の皆さんのおかげ。今後も、次世代の農業を考え、地域づくりをしていかなければいけない」と話す。
■紫宝梅「ミスなでしこ」/ブランディング
梅の品種「ミスなでしこ」は、那須さんの父が南高梅とパープルクィーン(小梅)の類似種を交配させて2005年に誕生。10年に商標登録した。果皮が紫色で加工するときれいな色が出る。那須さんは、この新品種が後世に残るようにと、ブランド化に取り組んだ。
当初はイベントなどに出店して、ビネガーやジャムなど加工品を販売するなどPRしてきたが、近年は、実そのもののアピールに力を入れている。地域の道路沿いや倉庫に看板を設置したり、軽自動車のほろもラッピングして移動看板として活用したりしているほか、会員制交流サイト(SNS)を通じて情報を発信している。
20年には「紫宝梅ミスなでしこ」という商標登録を取って、自身の農園で生産、販売するものをブランドとして使っている。
現在、約60アールで栽培しており、今年は約3・3トンの生産量があった。地元市場や個人によるネット販売をしており、市場を通じて香港でも販売している。
栽培面でも実の色づきが良くなるよう、剪定や施肥に気を使い、一定の着色があるもの以外は出荷しないなど、ブランド維持に努めている。
那須さんは「個人でできる範囲で、いかに発信していくか考えている。今回の評価を受けて、これまで取り組んできたことに自信を持てる。今後も、安定した量が提供できるよう頑張らないといけない」と話している。